2015 Fiscal Year Research-status Report
格差・貧困の捉え方と医療・福祉政策の評価に関する実証分析
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26380362
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浦川 邦夫 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90452482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 貧困 / 健康格差 / 社会関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、データから計測される客観的な格差・貧困と人々の主観的な格差・貧困がどのように関連しているかなど、格差・貧困に対する意識を扱った先行研究のサーベイをさらにすすめた後、本研究で実施するアンケート調査「格差・貧困のとらえ方に関する調査」の実施を行った。同データの主な集計作業はおおむね終えているが、本格的な解析は、最終年度(平成28年度)に行う予定である。また、学会発表としては、2015年7月にシンガポール国立大学で行われたEast Asian Social Policy (東アジア社会政策学会)で時間貧困に関する研究を含む3本の論文を報告した。そして、2015年11月に獨協大学で行われた日本応用経済学会では、外国人労働者のソーシャル・キャピタルと主観的厚生に関する研究論文を報告した。 本年度は、同研究に関連する論文・著書として以下のものがあげられる。 Yagi, T., Urakawa, K. and Yonezaki, K., “Happiness and Employment Status”, Tachibanaki, T. (ed.), Advances in Happiness Research: A Comparative Perspective (Creative Economy), 2016.02, Springer. 浦川邦夫「格差感・貧困感研究の動向とその政策含意」『貧困研究』14, 2015.07 浦川 邦夫・姉川恭子「大学への進学・卒業が貧困リスクに与える効果― 傾向スコア・マッチング法による考察―」『統計』, 2015.05.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
格差・貧困の捉え方がどのような社会経済的要因と関連しているかについての指針を得るためのアンケート調査を設計し、NTTコムオンラインのインターネット調査で実施した。また、外国人労働者の雇用環境、ソーシャル・キャピタル、格差・貧困に対する考え方を検証するための調査をあわせて実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に収集・集計したアンケート調査の応用的な分析作業にとりかかる。すなわち、昨年度に引き続き、現状の医療・福祉などの再分配政策に対する地域住民の評価について検討を重ねる。また、人々の社会経済的属性、健康状態、生活環境が、様々な医療・福祉資源の配分システム、格差・貧困指標の選好にどのような影響をもたらしているかについても、アンケート調査の集計結果を踏まえたうえで引き続き分析作業を行う。これまでの分析結果から得られた結論に基づき、社会保障の財源調達や医療・福祉政策の在り方についてどのような方策が有効であるかのインプリケーションを導く。主たる研究成果については、昨年度と同様、国内・海外の研究会で随時報告を行う。
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Causes of Carryover |
2015年3月2日に一橋大学経済研究所にて開催された一橋大学定例研究会にて論文「貧困測定の経済理論と課題」を報告する際の旅費として研究費を使用いたしましたが、当初に提示頂いた旅費の金額から550円分実際の費用が安くなるという事態が発生したため、残額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である2016年度において、使用計画に基づき適切な執行を行います。
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