2015 Fiscal Year Research-status Report
韓国の有期雇用者にかかる規制強化が企業行動に与える影響分析
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26380373
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
高安 雄一 大東文化大学, 経済学部, 教授 (20463820)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非正規職保護法 / 有期雇用労働者 / 無期雇用労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、韓国で2007年7月に施行された非正規保護法における雇用期間制限によって、実際に転換を行った韓国の企業行動がどのように変化したのかについて調査に着手した。調査は、韓国労働研究院が行っている事業体パネル調査のパネルデータを利用して、2007年から2009年の間に有期雇用者を無期雇用者に転換した企業、有期雇用者を無期雇用者に転換しなかった企業について、総雇用者数の変化、正社員賃金の変化、間接雇用比率の変化になどに差が生じているかを定量的に把握することで行うこととした。 そのために、まずパネルデータの入手を行った。次に事業体パネルの統合質問票は308ページと膨大なものであるが、各質問を精査し調査に使用できる質問の絞り込みを、韓国労働研究院の研究協力者および同研究院の事業体パネルデータ担当者の助言を受けつつ行った。さらに、分析が可能となるようにデータセットの構築を行った。 また有期雇用から無期雇用者に転換された無期雇用者に転換された者が、雇用の安定以外に賃金などの待遇が改善したのかについての調査にも着手した。この調査は、韓国労働研究院が行っている労働パネル調査を利用して、有期雇用者から無期雇用者に転換された雇用者の賃金などの待遇が、以前と比べて改善しているのか把握することで行うこととした。 そのために、まずパネルデータを入手した。さらに労働パネルの質問票は、事業体パネルを上回る分量であり、各質問を精査し調査に使用できる質問の絞り込みを、韓国労働研究院の研究協力者および同研究院の労働パネルデータ担当者の助言を受けつつ行った。さらに、さらに、分析が可能となるようにデータセットの構築を行った。 なお昨年度は、「付加調査」が有する問題点を改善し、雇用期間制限の転換効果を明らかにしたが、これを論文としてまとめ公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度には、韓国で2007年7月に施行された非正規保護法における雇用期間制限によって、実際に転換を行った韓国の企業行動がどのように変化したのか調査する際に必要なパネル調査の質問項目をにつき、韓国人研究協力者、統計作成機関の担当者の助言を受けながら精査した。その結果、定量的な分析に必要なパネルデータを構築することができた。 また昨年度「経済活動人口調査付加調査」のマイクロデータから明らかにしら雇用期間制限の転換効果につき、これを論文としてまとめ公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年後は、韓国で2007年7月に施行された非正規保護法における雇用期間制限によって、実際に転換を行った韓国の企業行動がどのように変化したのかについて明らかにする。前年度は、事業体パネル調査および労働パネル調査の質問を精査し分析に使えるものを選別したうえで、パネルデータを構築した。今年度はこのデータセットを使って、実際に定量的な分析を行う。 さらに結果の妥当性を検証するため、韓国人の研究協力者からのアドバイスを得るとともに、政府機関、業界団体、労働組合などからヒアリングを行う。具体的には、非正規保護法の施行以降、有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換した企業が多く、かつ雇用者数や雇用条件に変化があった産業を選定し、その産業に絞って、研究者および各種機関にその変化が無期雇用者への転換に起因するものかなど、詳細な情報を把握する。 そして最終的に、①有期雇用労働者の無期雇用労働者への転換が、企業の雇用削減、無期雇用者の労働条件の悪化、間接雇用比率の引き上げなど、企業行動の変化をもたらしたのか、②もたらしたとすれば、無期雇用者への転換が企業行動を変化させたメカニズムについて明らかにする。
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Causes of Carryover |
パネルデータの構築を最優先したことから現地調査を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は現地調査を行う予定でありそのための費用に充てる計画である。
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