2017 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
26380376
|
|---|
| Research Institution | Nihon University |
|---|
Principal Investigator |
川出 真清 日本大学, 経済学部, 教授 (00361890)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 財政スタンス / 財政規律 / 構造的財政収支 / マイクロ・シミュレーション / 所得税制 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は過去の研究の英文による公表を中心に、過去の論文の重要部分に関する英文化を行った。過去に公表した「慶應義塾家計パネル」の個票データを元にした分析、「経済格差と税・社会保障負担に関するマイクロ・シミュレーション」について、特に税制および社会保障の両制度の間で、近年の公的再分配機能が低下しており、2015年の所得税における最高税率の引き上げの効果も極めて限定的で、それ以上に社会保障負担の増加が、低所得世帯の負担増加となっている現状を指摘した。この点は、諸外国に比べて、公的負担を一体として議論できていない日本の特徴となっている。また、このような状況下での消費税負担の増加が、結果的にさらなる低所得世帯へ傾斜した負担増となるため、社会的選択において多数を占める階層に財政再建が忌避される状況にもある点が示唆されている。そのため、このような日本の現状を海外にも示してゆくことが望ましいと考えた。そこで、特に、上述の部分に焦点を当てて、英文化を進めたものを、財務省財務総合政策研究所の機関紙、"Public Policy Review"にて"National Burden and Economic Inequality: Micro-Simulation Analysis"として公表した。
また、構造的財政収支に関しては、本研究の過程でフレームワークを完成させたが、財政データのアップデートやその構造から見られる地域間の特徴について議論を試みたが、私生活面での問題が生じ、十分な分析を行うことができず、公表する水準に至らなかったため、現在、継続的にその分析を試みている。構造的財政収支の研究を進めることで、地域間の歳入構造や再出構造の特徴を統一的な枠組みで評価し、個別特性を明らかにする予定である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画状予定していた研究成果が一定数出てきているものの、十分な数に至っているとは言えない。また、これまでの研究を取りまとめた形で、さらに成果を出してゆこうと思っていた段階で、私生活上の困難が生じ、研究が大きく遅れる結果となってしまった。この点については、全くの想定外であったため、研究の遅れを取り戻す必要がある。
|
| Strategy for Future Research Activity |
研究から一時的に離れてしまったため、それらの状況の整理などを進めつつ、現在成果を出すことが可能な分野に関して、積極的に研究成果の作成を進める。具体的には、ほぼ完成段階であった都道府県別の財政構造収支に関して、分析的フレームワークの詳細な確認を行い、財政データを現在の計数に合わせた値を統計的に推計して、過去の状況との変化を計測する。次に、遅れ気味であるためまずは国際的な評価に広げるよりも、手短ですばやく進められる、国内の民意とどの程度関係があるかについて、分析を行うことを考える。さらに、最終年度として、個票データによる評価を地域別の財政状況や民意を示す指標と統合的に評価できるように、各分野の分析的枠組みを拡張して、統計分析を用いた形での評価を試みたいと考えている。
|
| Causes of Carryover |
（理由）昨年度はサバティカルであり、本年度は私的な事情で、当初予定していた海外での報告など、予算執行が困難になったため。
（使用計画）本年度は研究の遅れを取り戻しつつ、海外での報告などを行いたいと考えている。その中で、予算執行を適切に行う予定である。
|
Research Products
(1 results)
