2014 Fiscal Year Research-status Report
日本的雇用システムが夫婦の関係性、家族形成に与える影響―フランスとの比較において
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26380380
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤野 敦子 京都産業大学, 経済学部, 教授 (50387990)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 育児休業制度 / 日仏比較 / ジェンダー / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスの社会制度との比較の観点から、日本の社会制度(日本的雇用慣行を含む)が出生行動や女性の就労行動にどのような影響を与えるかを分析し、その結果から少子化対策やワーク・ライフ・バランスなどに関する政策的議論をすることを目的としている。 当該年度では、前年度および、前々年度に実施した「30代日本・フランスの母親のキャリアに関するアンケート調査」のデータを用いて、日本・フランスの母親の育児休業取得者の比較を分析することによって育児休業制度をジェンダーの観点から再考することを予定していた。 これに関して、上記日本とフランスのデータを用いて分析したところ、フランスでは、育児休業を取得せず就業継続する女性よりも育児休業を取得した後、就業を開始する女性の方が非専門職・低学歴であり、母性意識の強い傾向があることがわかった。一方、日本では、育児休業を取得する女性と取得しないで就業をする女性とでは、フランスほど明白な差がなく、育児休業を取得する女性はむしろ、専門職であったり、母性意識の低い人であることが明らかとなった。育児休業制度には、女性の就業継続を助け、ジェンダー平等に寄与する側面があるとともに、女性ばかりが取得する場合には、男女賃金格差などジェンダー不平等を生む側面がある。この結果から、フランスでの育児休業制度は、日本とは異なり、ジェンダー格差をもたらす負の側面が強く作用していることが示された。一方、日本は育児休業制度がまだ女性の就業継続のために寄与していることが示された。 これらの結果は、予定していた通り平成26年9月に行われた日本ジェンダー学会大会において、報告した。これはさらに今年度修正し、論文として執筆し、発表したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度及び来年度実施予定であるアンケート調査作成のための事前調査が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は日本人対象のアンケート調査を平成28年度にはフランス人対象のアンケート調査を実施予定である。しかしながら、平成26年度に事前調査が十分にできなかったため、平成27年度に事前調査を実施する予定であり、平成27年度実施予定の日本人対象のアンケート調査は、平成28年度に実施予定のフランス人対象のアンケート調査と同時に行う可能性がある。なお、アンケート調査に関しては、質問数、サンプル数によって調査費用が変動する。特に海外調査に関しては、為替レート等の関係で調査費用が変化し、十分なサンプル数を確保できない危険性がある。そのためにも平成28年度にアンケート調査を同時にする方が、アンケート調査費用の調整がしやすい。万が一、アンケート調査が実施できない場合には、フランスのアンケート調査をインタビュー調査などに変更する可能性もある。
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Causes of Carryover |
今年度、平成27年度、平成28年度のアンケート調査票作成のための事前準備が十分にできなかったため。また、アンケート調査に関しては、委託調査になるため、サンプル数、質問数などによって費用が大きく変動する。質・量ともに十分なアンケートを実施するためには、できるだけアンケート調査を実施する年度に費用を残しておく必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度あるいは平成28年度に実施するアンケート調査の委託費用のために使用する予定である。
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