2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26380383
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
齊藤 愼 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (70093565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地方財政調整制度 / 人口減少 / 自治体財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの既存研究では、地方歳出の効率化と地方財政調整制度とは、ほとんどの場合にそれぞれ別個のテーマとして取り扱われてきた。本研究では、歳出効率化の観点から地方歳出の決定要因を考察し、その重要な要因として地方財政調整制度のあり方を検討した。特に今年度は、人口減少との関連で新たな政策課題となった「地方創生」と個別自治体の歳出に地方財政調整制度が与える効果を考察するため、日本における人口変動と自治体の総計歳出の関係を考察した。今後の50年程度を展望すると、人口がかなり減少する可能性は極めて高い。国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成24年1月推計)』(同年3月30日公表)で推計されたように、2060年の総人口が8,674万人となるのか、あるいは政策効果が発揮され政府の期待通りの 1億人程度となるのか、については判断が難しいが、政府のシナリオ通りの1億人を達成するハードルがかなり高いことを指摘した。 このことと密接に関連するが、各地域にどの程度の人口が配置されることになるかが地方財政調整の今後の方向性を規定することになる。今回の政策の特徴は、これまでの限られた地域を対象とした政策のみではなく、広範な地域を対象として、人口減少への対策を行うということにあると思われる。またこれまでは、人口減少の影響は主として地方部が想定されてきたが、都市部の地方自治体にも影響が及ぶことを考えると、財政調整の量的側面にも影響を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画ではそれほど想定していなかった人口減少およびその結果としての地方創生が急激に重要な政策課題として浮上してきたため、今回は人口変動とそれが自治体財政・地方財政制度に与える影響についても考察したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、水ぶくれしている歳出規模を推測する研究を行うとともに、地方財政調整制度の歳出拡大効果を試論的に推計する。第1点目の水ぶくれしている歳出規模を推測する研究は前年度に引き続いての研究であり、パイロットスタディから、対象範囲を拡大して、モデル構築を目指す。第2点目の地方財政調整制度による歳出拡大効果を試論的に推計する研究は、本研究の中心であり、日本の地方交付税については、中井英雄(1986) 、齊藤愼(1997)等の研究で問題点はほぼ明らかになっているものと思われる。ただし、研究計画に加えて、平成26年度で研究した「地方創生」が歳出に与える効果と地方財政調整に与える量的影響も考察したい。 また、平成26年度において実施予定であったが、遅れている研究(水ぶくれしている歳出規模を推測するパイロットスタディ)を平成27年度において行う。
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Causes of Carryover |
研究計画実施が少し遅れており、そのため物品購入のタイミングが少し遅れ気味である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の研究計画の遅れを、本年度で可能な限り取り戻す予定である。平成27年度の使用計画額と次年度使用額を合わせて執行予定である。
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