2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26380386
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
三谷 直紀 岡山商科大学, 経済学部, 教授 (70219666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 明 学習院大学, 経済学部, 教授 (90158600)
森本 敦志 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (00739071)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育 / 企業内訓練 / 賃金 / 昇進 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は交付申請書の「研究目的」及び「研究実施計画」に沿って、①日本及びEU諸国、アメリカについて職業構造の違いが女性管理職比率に与える影響に関する各国の労働力調査を用いた統計的な分析、②平成26年度に収集したフランスの制度・政策に関する情報に基づく主に日本とフランスの間の学歴と昇進の関係や女性の管理職比率の分析、③マイクロ・データを用いた昇進関数の推計や女性管理職比率の比較分析などを行った。そして、これらの分析結果をまとめて論文として発表した。 まず、日本及びEU諸国、アメリカについて職業統計の違いが女性管理職比率に与える影響について各国の労働力調査を用いて統計的な比較分析を行った。その結果、国際標準職業分類の「管理的職業従事者」の就業者に占める割合に大きな差異があり、女性管理職比率と強い相関をもっていることを明らかにした。本研究では、とりわけ、日本の他国と比べて著しく低い女性管理職比率は就業者に占める管理的職業従事者の割合が極端に小さいことと関係していることを示した。つぎにフランスの教育制度と昇進制度に関するヒアリング結果や文献サーベイにより、グランゼコールとカードル(管理・技師職)という特有の制度があり、相互に強い関係を持っていることが明らかになった。また、カードルの約4割がグランゼコールか大学院修士で学卒時にカードルとなるという「早い昇進」であることも明らかになった。そして、学歴が昇進に強い影響をもつ「早い昇進」制度であることが女性管理職比率が高いことの要因であるという仮説をOECDのPIAAC 調査の個票データを用いて計量経済学的な手法で検証し、フランスの「早い昇進」制度が日本の「遅い昇進」制度に比較して女性の昇進確率を高めていることと整合的な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の「平成27年度の研究実施計画」に照らして、予定されていたアメリカおよびドイツに関する情報収集が十分に行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、①交付申請書の「平成28年度研究実施計画」に沿って、引き続き、アメリカ、ドイツ及びイギリスに関する情報を収集し、これらの国を加えた国際比較分析を行う。②推計された計量分析の結果と各国の制度・政策に関する情報を基に、学歴と賃金・昇進決定に関する国際比較の論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
主に平成27年度に予定していた海外調査が先方の都合等により実施できなかったことにより、渡航旅費に充てていた研究費が使用されなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28度にこの未使用額を繰越し、予定していた海外調査を行う計画である。
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