2016 Fiscal Year Annual Research Report
The analysis of the effect of regime uncertainty on financial markets
Project/Area Number |
26380390
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
西出 勝正 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40410683)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ファイナンス / マルコフ連鎖 / リアルオプション / 金利期間構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間3年間で以下の実績を挙げることができた. 1) Nishide and Yagi (2016)では,経済環境の変化時点が予測可能であるとの仮定の下での競争的企業の最適投資戦略を考察した.いわゆるBad News Principleが成り立つ条件を,企業間競争の観点から導出した点が学術的貢献である. 2) Elliott et al. (2016)では経済環境の突然の変化をマルコフ連鎖によって表現し,経済環境の違いや不確実性が株式オプション価格とインプライドボラティリティ構造に与える影響について考察した.その結果,数学的な取り扱い易さを失うことなく現実のボラティリティ構造と整合的な理論モデルを構築することができた. 3) Goto et al. (2016)では,論文2)と同様に経済環境の突然の変化をマルコフ連鎖によって表現した上で競争的企業の最適投資戦略を考察した.マルコフ連鎖を導入することで,通常のモデルで観察される資産価値のボラティリティに対するオプション価値だけでなく,経済環境の不確実性(レジーム変化)に対するオプション価値が投資行動に大きな影響を与えることが分かった.また,この論文のモデルを用いることでいわゆる株価のリスクプレミアムが現実に観察されるデータと整合的であることが分かった. 以上の研究を通して,経済環境の不確実性が企業行動や証券価格に対して無視しえない影響を与えているという経済学的示唆が得られた.また,マルコフ連鎖を適切に導入することでモデル上の複雑さを回避しつつ解析的分析や数値計算などが比較的容易に行い得ることも本研究を通して発見された特徴である. 最終年度では,上記論文に加えて幾つかの理論論文を完成させたが査読付き雑誌に採択されるまでには至らなかった.今後の採択に向けて更に論文の質を高めて行きたい.
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