2015 Fiscal Year Research-status Report
内部労働市場の調整コストが内部資本市場の効率性に与える効果
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26380396
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
土村 宜明 常葉大学, 経営学部, 講師 (70708495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 康博 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40175005)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多角化企業 / 内部労働市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の製造業の企業を分析対象に、事業部門間の人的資産の配分(内部労働市場)を考慮して、企業内部における事業部門間の投資資金の配分(内部資本市場)を実証的に明らかにすることを目的とする。人的資産の部門間配分では調整コストが無視できないため、人的資産の固定性が資金配分に与える影響を考察する。 平成27年度の研究計画は、平成26年度と同様に、データベースの構築と先行研究のサーベイ、そして理論的考察を行うことである。購入済みの日本経済研究所発行「企業財務データバンク〈平成26年(2014年)3月期まで収録〉」、株価データ等を用いて、セグメントごとのデータベースの構築を進めた。実証分析に使用する基本的なデータの整備を進めているが、想定よりもデータ量が多く、作業の進捗は遅れ気味である。このため、28年度からファイナンス分野の他の研究者と連携するなど、研究推進体制を組みなおすことを決めた。 また先行研究のサーベイを進め、それらを参考にしながら実証モデルの作成を始めた。本年度には、米国企業を分析対象として多角化企業における内部労働市場の機能を分析する新しい研究が報告された。これによると多角化企業は、収益力が弱い部門から高い収益力を期待できる部門に労働力を再配分できるため、単一事業の企業と比べて労働生産性が高いことがわかった。その他にも、分析目的が本研究と同じというわけではないが、分析方法を本研究に応用できる先行研究をいくつか把握できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
できるだけ多年度のデータを入手するため購入時期を遅らせて2014年1月に購入したことが影響している。データ面の制約を把握するのが遅れたためである。さらに、直接比較したり応用できる先行研究が少ないため、分析手法の策定が想定以上に困難であり、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は次の手順で進めることを計画している。①データベースの構築と先行研究のサーベイを行う。②部門間の人的資産の配分コストが資金配分に与えるか否かについて、理論的な考察を行い、実証分析の仮説を導く。③日本企業の製造業に対して、部門間の人的資産配分の影響を考慮して、内部資本市場の効率性を実証分析によって評価する。 26年度、27年度は①と②を進めてきた。作業が遅れているために、分担者の他にファイナンス分野を研究領域とする複数の研究者と連携し、共同作業を行うことにより、作業スピードを上げる予定である。28年度は引き続き①②を進めるほか、さらに③と④まで進め学会報告論文を作成する。
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Causes of Carryover |
研究実施の遅れにより打合せや学会参加の旅費の出費が少なくなったこと、さらに物品費の購入が遅れたことである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額については、主に追加的なデータの購入、さらに打合せ・学会参加旅費などに使用する予定である。
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