2016 Fiscal Year Research-status Report
離散時間確率金利モデルの漸近展開と金利派生商品の価格付け
Project/Area Number |
26380401
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
塩濱 敬之 東京理科大学, 工学部情報工学科, 准教授 (40361844)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 確率金利モデル / 金利デリバティブ / 信用リスク / 与信ポートフォリオ管理 / 混合分布モデル / 漸近展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の研究目的は、非正規従属性を考慮した離散時間確率金利モデルの提案とその漸近展開による金利派生商品の価格付けを行うことである。平成28年度は、Kawada and Shiohama (2016)で考察された、非正規従属な確率構造を持つ離散時間企業資産価値過程を用いた構造モデルによる信用リスク評価を、1-ファクターモデルに拡張し、デフォルト確率、ワーストケース・デフォルト率WCDRの評価を行った。さらに、与信ポートフォリオ管理におけるリスク量の計測を非正規従属性を考慮した評価を行い、既存のVasicekモデルによる信用リスク量との比較を行った。この研究は、2016年8月にアメリカ・シカゴにおいて開催されたJoint Statistical Meeting 2016にて報告し、フロア参加者と金融実務における提案モデルの意義や、拡張モデルの問題点等の議論をおこなった。研究成果はJSM Proceedingsにおいて発表した。
確率金利モデルの漸近展開とは別の視点の研究実績として、角度データの時系列モデルの研究と、多変量混合正規分布のブートストラップ推定とモデル選択に関する研究を行い、これらの研究成果は統計学の国際誌に研究論文として投稿し採択された。これらの研究成果は金融取引における周期変動のメカニズムの解析や、混合分布モデルに従う資産価値過程や資産価格収益率過程の金融派生商品のプライシングに応用できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究目的は、非正規従属性を考慮した離散時間確率金利モデルの提案とその漸近展開による金利派生商品の価格付けを行うことである。研究課題の1つに上げた非正規従属性を持つ離散時間企業価値過程を用いた信用リスク評価に関する研究成果を、国際会議で報告することができた。また、今後の研究の方向性を位置付ける関連分野の研究成果を2報論文として発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成29年度では、2015年度の研究成果の1つである、離散時間ハル・ホワイト・モデルを用いた金利派生商品の価格付けの研究成果を論文としてまとめる必要がある。同様に、2016年度の研究成果である、離散時間非正規従属な確率構造を持つ11-ファクターモデルを使った与信ポートフォリオの信用リスク評価についても論文としてまとめる。
|
Causes of Carryover |
旅費の見積もりと実績が多少変動してしまったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算計画通りになるよう、準備します。
|
Research Products
(7 results)