2015 Fiscal Year Research-status Report
市場参加者の主観的予測形成と市場取引との相互作用の解明と価格誤誘導の制御制度設計
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26380409
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
秋永 利明 常葉大学, 経営学部, 准教授 (60286606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 研樹 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20583214)
小田 秀典 京都産業大学, 経済学部, 教授 (40224240)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
被験者の市場取引を通じた予測の修正メカニズムの実験検証のための実験の基礎モデルを作成するための予備実験を行った。実験は研究代表者が既に実施していたTreynor型の実験を修正して用いた。実験は2種類のラウンドで構成し、予測ラウンドと取引ラウンドからなる。予測ラウンドでは、玉の詰まった瓶を被験者に提示し、その中身を予測させた。被験者報酬は、予測の正確さに応じて支払った。取引ラウンドでは、予測対象の真の値を清算価格とする証券を取引させた。予測対象の玉数がxのとき、価格pで買った者にはx-pが、売った者にはp-xが利益として与えられ、この利益が被験者への報酬を決定する。取引方法には、ダブルオークションを採用した。以前は古典的なダブルオークション実験で採用されている最良気配を改善する注文のみ受け付けるシステムを使ったが、今回は現実に近い指値注文のシステムを作成し、売買可能枚数を実験パラメータとして調整し複数の実験を実施した。売り手・買い手の役割を実験設定として与え固定する、売りか買いかの判断を被験者自らが行う、売りならいくら買いならいくらという双方向の注文を認めるといった注文仕様の違いだけでなく、瓶の中身の変動・固定、真値途中開示の有無といった外部環境の変化も試した。
投資家の主観的予測が何に影響されるかのアンケート調査としては、プレとして学生を対象にHolt のリスク回避に関するアンケートを行った。また、これと合わせて、様々な確率と報酬を組み合わせたくじを作り、それらをランダムに合わせたアンケートを行なった。これらくじと危険回避の相関を図り、くじの順番によっては、リスク回避傾向と矛盾が起きることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の所属機関から得た研究資金により「被験者の市場取引を通じた予測の修正メカニズムの実験検証」に関する予備実験で当初の想定より多くの設定を試すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
主観的予測の分布に対する環境変化の影響に関して、散らばりと中心的性向の間に非対称性がありそうなことが予備実験から示唆されている。このことの頑健性を確かめると同時に、その理由を調べていく。アンケート調査は、これまでと同様のものを一般の投資家に行なう。さらに、このアンケートのデザインに一定の金銭的インセンティブを与えて、実験を行なう
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Causes of Carryover |
所属機関からの研究費が当初想定より多く取得できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の研究遂行に関して必要な物品を購入する。
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Research Products
(1 results)