2016 Fiscal Year Research-status Report
市場参加者の主観的予測形成と市場取引との相互作用の解明と価格誤誘導の制御制度設計
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26380409
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
秋永 利明 常葉大学, 経営学部, 准教授 (60286606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 研樹 島根大学, 戦略的研究推進センター, 助教 (20583214)
小田 秀典 京都産業大学, 経済学部, 教授 (40224240)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミスプライシング / 再帰性 / 集合知 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに行った7種類の実験設定からの結果について、特に市場価格と主観的予測の挙動に注目し、比較分析を行った。その結果、売手・買手の役割は固定せず売買判断は各自が自由に行い、最良気配を改善する注文のみ可能とし、1人が1期間に1枚まで取引可能で、反対売買による差金決済は認めず市場終了時の最終決済により全ての取引を清算し、獲得利益や最終決済価格は実験終了時まで開示しないタイプの実験設定が、今後の研究の参照点となる実験設定になると判断した。そして、その設定のもとでの実験結果をより詳しく分析し、市場価格の通時的挙動とミスプライシング、ファンダメンタルバリュに関する主観的予測の変化や被験者間の散らばり、市場価格と主観的予測の相互作用などについて、その特徴を整理した。その分析結果についは、日本金融・証券計量・工学学会 の2016年度冬季大会において報告を行った。
進行中の本研究は、元々は行動ファイナンスの分野に属するものとして行っていたが、集合知メカニズムとの関連も有している。そこで、集合知と株式市場の違いをサーベイして、ファイナンス市場における集合知を模索した。そうした視点から得られた本研究に関わる知見は、日本経営工学会の研究プロジェクトである「集合知メカニズム研究会」(2016年8月・10月) および常葉大学経営学部の「常葉経営学術シンポジウム」(2016年9月)において報告した。
また、参照点となる実験設定を精緻化するため、予測提出回数とファンダメンタルズの変化の回数を増やした実験を、追加的に実施した。さらには、マルチエージェントシミュレーションを用いて被験者実験における被験者タイプを導入したシミュレーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々な実験設定を試したものの、そこでの結果にはやや自明の感があり、革新的な成果は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
関連する研究のサーベイを徹底して行い、本研究の先行研究との関わりをより明確にした上で、必要な追加実験を設計していく。
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Causes of Carryover |
既に行った実験結果の分析に多くの時間を費やしたため、新たなに行った実験の回数が少なくなり、実験実施にかかる費用が想定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験を実施する。
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Research Products
(1 results)