2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380411
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
岩城 秀樹 京都産業大学, 経営学部, 教授 (40257647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 祐介 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (80511302)
藤井 陽一朗 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (80635376)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不確実性下の意思決定 / 曖昧性 / 滑らかな曖昧性モデル / 双対モデル / 均衡 / CAPM / ファントム空間 / ポートフォリオ選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度達成した研究実績は以下のとおりである。 1.曖昧性下での均衡資産価格評価モデル。 昨年度の研究成果の一つは、滑らかな曖昧性モデルの双対モデルのもとで保険料計算原理を導出したことであったが、本研究は、さらに一般的に深化させ、各経済主体が滑らかな曖昧性モデルの双対モデルに基づいて意思決定を行うとした場合の純粋交換経済の下での競争均衡を考えて、均衡における状態価格密度を導出した。さらに、それに基づき、ファイナンスにおける資本資産価格モデル(CAPM)を曖昧性下に拡張した。先行研究では曖昧性下でのCAPMの導出に、近似手法を用いているのに対し、我々は、直接的に導出し、その妥当性を示した点に独創性と貢献がある。従来型のCAPMは、実際の投資評価にも使われているところであるが、その現実適応性は芳しくないものであった。本研究成果の意義は、従来型のCAPMを曖昧性下に的確に拡張したことにより、現実適応性の向上に寄与する可能性を示したことである。 2.ファントム回避とポートフォリオ選択。 不確実性下の新規かつ有望な一つの意思決定方法として、Izhakian and Izhakian (2014)は、ファントム(phantom)空間上での意思決定基準を提唱した。これは、将来生起する事象や結果、生起確率が、ある値を基準として正負の幅を持った値(ファントム数)として認識されるということを明示的にモデル化した新たな意思決定基準である。我々は、ファントム回避の定義を新たに行い、意思決定者がよりファントム回避であることの条件を導いた。そして、ポートフォリオ選択への応用として、資産収益率がファントム数として認識される場合のファントム回避と資産需要の関係を示した。その意義は、現実の不確実性下での意思決定方法の整合性及び妥当性を示す上での新たな礎を与えたということである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、①より一般的な枠組みで不確実性が資産価値に与える影響を分析し、曖昧性モデルの手法を発展させること、②それを証券市場や保険市場の分析に応用し、実証的な含意を得ること、また、現実と整合的になる曖昧性モデルの性質を明らかにすることである。 また、平成27年度研究計画は、平成26年度の研究において得られた知見の汎用性の高い一般的な枠組みでの拡張を試みることであった。本年度達成した研究実績は研究実績の概要で記載したとおりであり、本研究課題の目的と当初の平成27年度研究計画と照らし合わせて、現在までの達成度は、上記のとおりであると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の現在までの達成状況は、上記に記載したとおり、おおむね順調に進展していると言えるので、今後も、当初の計画どおりに研究を推進していく。 具体的には、最初に、より一般的な枠組みで曖昧さが資産価値に与える影響の研究をさらに深化させていく。この一般的な枠組みでの分析を深化することで、さらに汎用性の高い手法を確立でき、現実の証券市場や保険市場への応用が容易に進められると考えられる。そして、その後は、本研究で考案する評価方法の一般的な枠組みの深化と証券市場や保険市場への応用を同時並行でさらに進めていく。
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Causes of Carryover |
使用予定者である研究分担者が2014年度末に体調を崩し、2015年度は大事を取っていくつかの学会や研究会の参加を取り止めた。そのため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の報告、あるいは、研究課題に関連した情報収集を目的とした学会や研究会に参加するための国内旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)