2014 Fiscal Year Research-status Report
銀行企業間の関係性がマクロ経済に与える影響についての実証分析
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26380416
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中島 清貴 甲南大学, 経済学部, 教授 (00367939)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マッチングデータ / 介入効果 / リレーションシップ / 公的資金注入 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は,銀行と企業の関係性がマクロ経済にどのような影響を与えるか,という観点から,銀行と企業の貸出レベルのマッチングデータを利用した実証分析を展開した.とりわけ,①バランスシートが悪化した銀行と成長性の乏しい借入企業(いわゆるゾンビ企業や財務状況の悪い企業)による「悪い」関係性が銀行貸出にどのような影響を及ぼすか,②銀行の財務状況が悪くなり,銀行主導で関係が切れた場合(いわゆる「貸し剥がし」が生じた場合),借入企業の投資行動にどのような影響が生じるか,③そもそも,どういう理由で銀行と企業の関係性が切れるのか,という3点の問題意識からマッチングデータを利用した分析を行った.こうした問題意識のもと,昨年度は,①の問題意識に即して,"Unviable Relationship and Bank Lending: Evidence from Loan-level Matched Data",②の問題意識に即して,"The Real Effects of Bank-Driven Termination of Relationships: Evidence from Loan-level Matched Data",③の問題意識に即して,"The End of Inappropriate Relationships"を作成した.今年度は,この3本の論文を出版するための足掛かりを作るべく,国内学会や国際学会で発表をしていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,銀行と企業のリレーションシップのあり方がマクロ経済にどのような影響を及ぼすか,という点にある.現時点では,銀行と企業のリレーションシップが銀行主導で切れた場合の経済への影響,財務状況の悪い銀行と収益性の低い企業が「悪い」関係性を維持した場合にマクロ経済にどのような影響があるか,そしてそうした悪い関係性が切れる場合にはどのようにして切れるのか,という点までの分析を済ませている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたように,今後は,この3本の論文の質を高め,国際的に評価の定まった査読雑誌に掲載することを目標にしている.また,今後は,金融政策や財政政策といったマクロ経済政策と銀行と企業のリレーションシップとの関連も考えながら分析をしていく予定である.
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Causes of Carryover |
昨年度は,以前,別のプロジェクトにおいて交付され,1年間の使用延長許可後,当該プロジェクトの完遂を目標に未使用分の科学研究費を優先的に使用した.そのプロジェクトは,論文としてまとめられたのち,国際的に評価の高い金融査読雑誌,Journal ofBanking and Financeに掲載が決まっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,主に,すでに作成した3本の論文の国際学会での発表だけでなく,マクロ経済政策(とりわけ金融政策)と関連させながら分析を行っていくための新しいデータセットの構築に補助金を使用する予定である.
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Research Products
(3 results)