2016 Fiscal Year Annual Research Report
The industrial reorganization in France and European integration
Project/Area Number |
26380423
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石山 幸彦 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (90251735)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エネルギー政策 / 石炭産業 / ヨーロッパ統合 / 国有化 / ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度における研究では、前年度に実施したヨーロッパ石炭鉄鋼共同体結成(1952年)後の同共同体による石炭共同市場の開設と石炭の流通管理、フランス政府や他の加盟諸国のエネルギー政策、フランス石炭産業の経営状況などに関する調査・分析を継続して行った。 まず、前年度に行った共同体によるカルテル規制の実態を明らかにする過程で生じた課題に取り組んだ。それは、石炭共同市場開設時に共同体と加盟国政府間でどのような論議が展開され、市場のルールが決定されたのかということである。そこでは、開設当初の1950年代末までの過渡的期間については、共同体は新たな画一的な規則を制定したのではなく、それまで加盟諸国が実施していた市場規制ルールを採用せざるをえなかったことを解明した。 次に、フランスを中心に共同体諸国における1950年代以降の石炭産業と石炭市場についての研究を実施した。同時期からは共同体内部では石炭が過剰供給状態になり、石炭危機が生じていたが、その原因はエネルギー源としての石油の使用が増加したことにあった。以上の産業構造の転換に対応し、共同体は石炭産業の整理縮小に着手する。そこでは共同体は加盟国政府と協力して、炭鉱の閉山、生産縮小にともなう炭鉱企業や労働者への補助金などを支出し、共同体が1960年代にエネルギー産業における産業構造の転換に大きく貢献したことを解明した。 さらに、1970年代のオイルショック以降には、上記の石炭産業への助成とともに、共同体レベルでの鉄鋼の生産調整(=縮小)にも、共同体が貢献したことを解明している。
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