2017 Fiscal Year Annual Research Report
Migrant workers in times of Depression - Foreign-born workers and the Second generation of Immigrants in Post-war Britain
Project/Area Number |
26380433
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
奥田 伸子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (00192675)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移民第2世代 / イギリス / 労働市場 / 社会変容 / 若年失業者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後イギリスにおける移民第2世の成長とイギリス労働市場政策の相互関係の分析である。第2次世界大戦後から1950年代にかけてイギリスに定住した移民の子どもたちは1970年代から1980年頃に雇用可能な年齢に達し、イギリス労働市場のエスニシティ構成は変化した。1970年代以降のイギリスは失業者が増加する一方、常にイギリス国外生まれの労働力を受け入れてきた。本研究はこの2つの動きの相互関係に着目し、戦後イギリス労働市場のあり方をすることを目的とした。 28年度までの研究によって、戦後イギリス労働市場は、外国人労働力が雇用の調節弁であるとするバッファー理論は成立しないこと、一部産業では外国生まれ労働者の雇用について明確な経路依存性があることを示した。移民第2世代にたいする1970年代後半の政府の評価は非常に低く、低賃金の労働よりも、労働市場からドロップアウトすることを選ぶ存在と考えた。こうした見解が1980年代のサッチャー政権における若年労働者への批判へとつながり、長期的にはイギリス社会の分断へとつながったことがあきらかになった。本研究の意義は、移民第1世代に重点をおき、新英連邦出身者に研究の焦点を当てたこれまでの研究とは異なる視点から戦後の労働市場を分析することの有用性を確認したことである。 29年度は、11月にアイルランド移民や第2世代以降の世代のマイノリティとホスト社会について研究を続けているブロンウェン=ウォルター・ラスキンアングリア大学名誉教授を招聘し、東京と名古屋においてシンポジウム等を行い、比較研究へと発展させるために議論を行った。招聘の成果を論文等として発表することは30年度以降になる。日英比較については共著論文として準備を進めている。アイルランド人女性移民についてはウォルター教授の報告や議論をまとめてジェンダー関係の雑誌に掲載することが決定している。
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