2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26380434
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
沼田 郷 青森大学, 経営学部, 准教授 (10398977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雄司 日本大学, 経済学部, 助教 (10551004)
中道 一心 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60512001)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本 / 台湾 / 諏訪地域 / 光学産業 / デジタルカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一の課題である日本の光学産業の成長に関しては、日本の光学技術導入に影響を与えた英国標準化機関の発足と意義について分析した。この点は、本研究が重視する英、独を中心とした複数企業間の競争と協調関係の中で再検討するという目的に沿ったものである。また、日本国内における光学技術やノウハウの伝播を明らかにするために、長野県を中心とした聞き取り調査を行った。具体的には、諏訪地域の企業5社、諏訪域外の企業2社である。これら聞き取りからは、諏訪地域における光学技術の学習、展開プロセスを明らかにするための事例を得ることができた。今後は、さらに多くの企業、個人への聞き取り調査を行い、より詳細な検討を加えるとともに、事例を積み上げることが重要となる。 第二の課題である日本企業の海外進出を契機とした現地での新産業創出と現地企業に対する日本企業の技術的支援を明らかにすべく、台湾での現地調査を行った。具体的には、台湾企業5社である。この調査からは、台湾に進出した日本企業の外注先として台湾光学企業が成長してきたことを裏付ける事例を得ることができた。また、人的移動の問題として、日本企業から台湾企業への日本人技術者の転職(退職組を含む)や、現地日本企業での就業経験を有する技術者の転職、起業に関する事例を複数得ることができた。さらに、2000年代初頭におけるデジタルカメラの受託製造を行う台湾企業の技術的課題を補完した日本企業とその役割に関する事例を得ることができた。この点は、本研究が重視する日本企業の技術の出し手としての一端をを明らかにするものである。 今後は台湾企業への聞き取りを継続する一方で、台湾企業の技術的課題を補完した日本企業への聞き取りも継続し、日本と台湾における光学産業の発展プロセスを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に推移しているといえる。その理由として、以下の点を挙げることができる。 平成26年には、本研究助成の成果の一部として研究分担者である山下が「イギリスにおける標準化団体の活動:1901~1918年-Engineering Standards Committeeを中心として-」を執筆し、平成27年5月には、日本経済評論社より『日本デジタルカメラ産業の生成と発展』が出版された。本書の執筆者は研究代表者である沼田が第1章(分担)と第5章を研究分担者である山下が第1章(分担)と第6章を執筆している。 また、平成27年4月にはアジア経営学会西部部会において沼田と中道が共同報告を行った。さらに、平成27年6月には産業学会において、沼田と中道が共同報告を行うことが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
英国からの技術移転を明らかにするための情報収集と分析を継続して行うとともに、日本国内での技術の伝播と浸透を明らかにするための関係諸機関(企業、公的機関、商工会議所、個人)への聞き取りを継続する。これは第一の課題に関わる部分である。 また、台湾光学企業の技術的課題を補完する役割を担った日本企業への聞き取り調査を行い、その詳細を明らかにする。一方で、日本企業によって補完される領域が縮小してきているという事実も掌握しており、この点を追及し、明らかにすることで台湾企業の成長を跡付けたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究分担者が予定していた英国調査を年度内に遂行できなかったことが最も大きな要因である。当該調査には、47万円の調査費用を計上していたため、大きな額となっている。それ以外には、2015年3月末に行った諏訪地域への調査を年度内に請求しなかったため、次年度での決算となってしまったことも要因の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者による英国調査を今年度内に確実に行うことで次年度使用額の発生を防ぐ。また、次年度の助成金として計上している研究の進捗管理を徹底する。
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Research Products
(4 results)