2014 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の人事処遇制度の形成過程-オーラルヒストリーによる戦後史研究の再構築
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26380438
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
田口 和雄 高千穂大学, 経営学部, 教授 (70407659)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オーラルヒストリー / 労働史 / 労働組合の国際運動 / 人事管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
労働実務者へのオーラルヒストリー調査を行い、多くの労働研究者、企業の人事担当者、労働組合関係者等に利用可能なオーラルヒストリー史料群の整備・拡充を図ることを目的とする本研究の実績ついては、本年度は本研究が取り上げている3つの課題の課題(1)新調査の計画~本研究協力機関と連携したオーラルヒストリー調査協力者のリスト作成、2)新調査の実施~オーラルヒストリー調査協力者への調査、(3)オーラルヒストリー調査協力者から提供された非公式一次史料群のアーカイブ化の推進に取り組んだ。 具体的には、研究計画で掲げた3つのステップ(【ステップ①】既存のオーラルヒストリー史料群による研究報告、新調査計画の実施と研究論文の作成【ステップ②】新調査の実施と調査協力者から提供された非公式資料群のアーカイブ化【ステップ③】新調査による史料群の研究報告)のうち、【ステップ①】と【ステップ②】を実施した。すなわち、岩崎馨氏(一般財団法人・日本生産性本部労働研究センター事務局長)の協力を受け、園田恭義氏(元日本鋼管株式会社人事部OB、(有)るいか代表)、三浦義氏(元商業労連国際局局長)の紹介を受けて、両氏にオーラルヒストリー調査を実施した(園田恭義氏:3回、三浦義氏:1回)。 園田恭義氏には現在、3回のオーラルヒストリー調査を行い、日本鋼管における大卒ホワイトカラーの人事管理の概要ならびに昇進管理の実施状況を伺った。三浦義氏には現在、1回のオーラルヒストリー調査を行い、当時の労働組合の運動状況ならびに国際活動の取り組み状況を伺った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で掲げた3つのステップ(【ステップ①】既存のオーラルヒストリー史料群による研究報告、新調査計画の実施【ステップ②】新調査の実施と調査協力者から提供された非公式資料群のアーカイブ化、【ステップ③】新調査による史料群の研究報告と研究論文の作成)のうち【ステップ①】と【ステップ②】を実施し、現在2人のオーラルヒストリー調査を実施している(園田恭義氏:3回、三浦義氏:1回)。また、両氏から非公式史料群の提供を受け、その資料整理をオーラルヒストリー調査と平行して実施している。なお、両氏のオーラルヒストリー調査は次年度も引き続き行うことを計画している。 【ステップ①】既存のオーラルヒストリー史料群による研究報告について。一般社団法人日本生産性本部労働研究センター主催の人事制度研究会にて、申請者が参加したオーラルヒストリー史料群の研究報告(報告テーマ:労働史オーラルヒストリーの取り組み、平成26年6月26日)を行うとともに、同センター事務局長、岩崎馨氏の協力を得て、日本鋼管㈱人事部OB園田恭義氏、並びに元同盟国際局長、三浦義氏へのオーラルヒストリー調査の新計画を実施した。また、引き続き岩崎氏の協力を受けながら、翌年度の新調査の計画に向けた検討に取り組んだ。 【ステップ②】新調査の実施と調査協力者から提供された非公式資料群のアーカイブ化について。【ステップ①】における新調査の計画をもとに、日本鋼管㈱人事部OB園田恭義氏、並びに元同盟国際局長、三浦義氏へのオーラルヒストリー調査を実施し、当該年度中に園田氏には3回、三浦氏には1回の調査を行った。なお、両氏に対するオーラルヒストリー調査は継続中で、翌年度も引き続き調査を行うことを計画している。また、両氏からは非公式史料を、岩崎氏からはアナログ音声の記録媒体(カセットテープ)をそれぞれ提供された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、次年度はつぎの3つを実施することを計画している。 【(1)園田恭義氏と三浦義氏に対するオーラルヒストリー調査の完了と報告書の作成】 当該年度は、園田氏ならびに三浦氏のお二方に対するオーラルヒストリー調査は継続中であるので、翌年度も引き続き両氏への調査を行い、併せて両氏から提供された非公式史料を整理してオーラルヒストリー調査報告書を作成する。 【(2)新たなオーラルヒストリー調査の計画と実施】 一般財団法人・日本生産性本部労働研究センター事務局長、岩崎馨氏の協力を引き続き受けて、つぎの新オーラルヒストリー調査の計画を進め、オーラルヒストリー調査を実施する。 【(3)アナログ音声のデジタル音声化】 一般財団法人・日本生産性本部労働研究センター事務局長、岩崎馨氏から提供された産業別組合の組合リーダー複数名を対象に行ったインタビュー調査の非公開アナログ音声の記録媒体(カセットテープ)のデジタル音声への変換作業を行う。アナログ音声の記録媒体は保存方法が難しく、時間とともに劣化していく恐れがある。インタビュー調査の対象者となった組合リーダーは現在、鬼籍に入られているため、その音声内容は労働運動史研究において貴重な史料群である。そこで、予算の執行状況を勘案しながら、デジタル音声変換作業に取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は次の2点である。 第1は、オーラルヒストリー調査の対象者(園田恭義氏、三浦義氏)が勤務地近郊に居住していたため、旅費が当初の計画より少なく済んでしまったことである。第2は、オーラルヒストリー調査の対象者は謝金の受け取りを断ったため、人件費・謝金の支出が行われなかったことである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、園田恭義氏、三浦義氏へのオーラルヒストリー調査終了後、つぎの新調査の計画と実施を行うことため、新調査の対象者が勤務地より遠方に居住していた場合には、旅費を支出して調査を行うとともに、調査の際に対象者に謝金を支払う。また、予算の執行状況に応じて「12.今後の研究の推進方策等」内の「今後の推進方策」で述べた【(3)アナログ音声のデジタル音声化】作業で発生する費用に使用する。
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