2015 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における自動車流通網の形成過程に関する研究―成長産業への経営資源移転―
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26380440
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
菊池 航 立教大学, 経済学部, 助教 (00710724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩地 洋 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (60215944)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自動車流通 / ディーラー / 多角化 / 経営史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後日本自動車産業における流通網の形成過程の一側面を、ディーラーの経営者への聞き取り調査と関連資料の分析によって明らかにすることである。戦後に誕生したディーラーの一部は、綿紡績業や鉄道業を主な事業とする企業の多角化戦略という性格を有しており、本研究は、成長産業であった自動車産業に経営資源が移転してゆくプロセスに焦点をあてて分析を行っている。研究プロジェクトの2年目にあたる平成27年度においては、以下の成果を得た。 第一に、平成26年度に引き続きディーラーへの聞き取り調査を実施し、これまでの聞き取りについての書き起こしとチェック作業をほぼ終えたことである。社史等の関連資料との整合性も入念に確認しているために想定していたより時間がかかっているが、インタビューの一部は、学界の共有財産とするため、最終年度である平成28年度にワーキングペーパーとして刊行する予定である。 第二に、自動車図書館、広島県立図書館、福山市立図書館等において資料収集を実施し、基礎的な資料を収集できたことである。最終年度である平成28年度での本格的な成果報告に向けて、綿紡織業や鉄道業が多角化としてディーラーを選択した理由、新規参入の成功要因、参入後の経営展開等について分析を進めた。研究成果の一部については、国際会議(第9届中日汽車産業研究交流会等)や国内学会での報告を行い、問題関心を共有する研究者との交流も図ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要において述べたように、綿紡績業からディーラーへ多角化した企業に対して行った集中的なインタビュー調査について、書き起こしとチェック作業をほぼ終えたことは大きな達成である。公開が許可されたインタビューは、当初の計画通り、ワーキングペーパーとして刊行する準備を進めている。また、日本自動車整備振興会連合会の所蔵する資料を閲覧する機会を得て、研究史上注目されてきた自動車メーカーとディーラーの取引関係について理解を深められたことも大きな成果であった。その一方で、今年度の分析対象が一部のディーラーに集中してしまった点は、反省すべき点である。最終年度は、関係者の協力をどの程度得られるかにも依存するが、本格的な調査を実現できていないディーラーの分析に重点を置くこととしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次の通りである。第一に、これまでの蓄積を活かし、より多数のディーラーの分析を行うことである。第二に、整理した資料をもとに研究を展開し、学会で成果を発表するとともに、学術雑誌への投稿を行うこととしたい。
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