2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380441
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
高橋 美由紀 立正大学, 経済学部, 准教授 (50361845)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歴史人口学 / 少子化 / 女性労働 / 宿場 / 赤子養育仕法 / 間引 / 人口 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
陸奥国安積郡郡山(宿)に関しては、これまでにさまざまな人口統計の作成をおこない、さらに統計的にも掘り下げて分析を続けている。数量的データのみではなく、記述的史料からも統計データの考察を進めるために、郡山(宿)が属する二本松藩地域の、既に収集済みの赤子養育関係の史料を中心に解読および整理を進めた。また、郡山と同様の街道筋に当たり、人口史料が残されている、武蔵国埼玉郡粕壁(宿)および武蔵国足立郡蕨(宿)に関して史料を整理し、データの入力をおこなうとともに、現地史料館等で関連文書の調査を引き続き行った。両地域は人口データが得られるばかりでなく、同時に職業記載がみられることから、各世帯の経済的状況を人口変数とともに探ることが出来るというたいへん貴重な地域である。さらに、蕨宿は、研究史的にも丸山雍成(1975)『近世宿駅の基礎的研究』吉川弘文館、で対象とされた地域であり、宿場における女性をはじめとする人びとの社会的状況を考察する上で重要である。両地域では、渡辺浩一氏も宿場のあり方の分析をおこなっている(渡辺浩一(1999)『近世日本の都市と民衆――住民結合と序列意識』吉川弘文館)。 また、近世に「女性が子どもを産まないことや生まれた後に押し返す(間引きく)こと」を選択する動機を考察したいと考えた。そのため、関東地域において「間引絵馬」が残存している下総国相馬郡(現在の柏市地域)において、間引の誘因として直接的な経済的要因以外の変数を史料から考察した。そこからは、近世に女性の置かれた社会的状況として過剰な労働状況が関連していることが伺えた。 これらのことは、関連した学会等において成果として報告するとともに、一部を研究ノートとしてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料の解読に当初予定していた以上の時間がかかり、いまだに整理が進んでいない史料が存在している。また、解読済みの史料においても、整理・入力等にかなりの時間を要している。粕壁宿においては、埼玉県立文書館のみに史料が集積されておらず、散逸している史料が存在することが伺われ、その調査もおこなっているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は研究最終年であるので、一定の結論を出したいと考えている。 そのための方策として、単独では間に合わない史料収集・整理に関しては、謝金での協力をお願いし、速やかにデータ整理をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
謝金で史料整理および統計作成等を依頼する予定であったが、そこまでの史料調査が間に合わなかったためと謝金を依頼する人材との調整が出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究最終年度でもあるので、謝金で史料整理等を依頼するとともに、研究をまとめるための史料整理・報告書撮影のための印刷等に使用する予定である。
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