2015 Fiscal Year Research-status Report
英領期シンガポールの数量経済史研究体系化にむけた長期経済統計推計と実証的分析
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26380442
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
杉本 一郎 創価大学, 教養学部, 教授 (50546364)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シンガポール / 植民地経済 / 長期経済統計 / GDP / 経済成長 / 開発経済 / アジア経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
出版としてはMonetary Authority of Singaporeが発行するMacroeconomic Review, Vol.XIV, Issue I, April 2015にシンガポール独立50周年を記念した特集号にThe Reconstruction of Singapore's GDP 1900-60: Estimates and Trendsと題した自身の推計結果を示すことができた。 報告ではシンガポール南洋理工大学で開催されたThe Third Congress of the Asian Association of World Historians (AAWH)にて英領期シンガポールにおけるアヘンの消費と、有価証券投資について報告をおこなった。また2015年8月3日から7日にかけて「第17回世界経済史会議・京都大会(XVIIth World Economic History Congress, Kyoto, 2015)」 が国立京都国際会館において開催され、8月5日に「旧英領における国民所得勘定の推計:青書とその他資料の役割」と題するセッションを組織し、シンガポール、キプルス、ミャンマー、オランダ、日本の研究者とともに、英領期における各種歴史統計の推計方法と、それを活用した実質賃金と生活水準に関する実証分析について報告を行った。またアジア・アフリカの旧英領期の歴史統計推計整備や、実証研究が進展しており、今後も同分野に従事する各国の研究者と継続的に連携をとりながら、研究を推進していく方向性を確認した。 昨年、アングス・マディソン プロジェクトの歴史統計データベースに自身のシンガポールGDP推計結果が採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①1819-1870期の英領シンガポールにおける長期経済統計の推計では英領シンガポール生成期における経済統計(賃金、物価、人口、貿易等)の収集は部分的には進んだが全体像を掴むまでのデータベースの作成には限界があるようである。研究期間内に該当資料の探索と収集、関連統計資料のデータベース化、推計・加工作業、公開可能な推計・加工ワークシートの作成を目指していく。 ②英領期のシンガポールの生活水準の国際比較では購買力平価の推計をもととした国際比較ではなく、Robert Allenの手法を採用し、労働者の生存費に対する所得比という形で推計をおこなった。その内容を用いて京都での国際会議で報告をおこなった。 ③英領期政府財政行動分析と社会資本整備のデータベースの整備ではStraits Settlements, Blue Booksを活用してシンガポールの社会資本整備の進展と、その基盤形成を担った英国植民地政府の財政支出のデータベースの整備を進めている。その成果の一部は、シンガポールで行われた会議で報告した。 ④英領期シンガポールに関する実証的分析では、1870-1939期の歴史統計を用いて「ステープル理論によるシンガポールの経済成長の検証」を行い、2つの国際会議で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
①1819-1870期の英領シンガポールにおける長期経済統計の推計では英領シンガポール生成期における経済統計では他の時期と比較して、詳細なデータベースの作成には限界があるようなので、どの部分で欠如しているかを明確化していく。また公開可能な推計・加工ワークシートの作成、推計・加工方法の文書化、推計結果の妥当性の検証を行っていく。 ②英領期のシンガポールの生活水準の国際比較では労働者の生存費に対する所得比という形で推計をおこなったが、詳細な推計ノートを作成、その内容を用いた研究を国際研究書に投稿する。 ③英領期政府財政行動分析と社会資本整備のデータベースの整備では、残りの部分を完成させ、推計ノートを作成していく。 ④英領期シンガポールに関する実証的分析では、現在作成している3本の論文の投稿を行う。
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Causes of Carryover |
検討していた物品の購入額が残金より高かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に物品を購入予定
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