2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380457
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田名部 元成 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (10313462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報システム / ゲーミング / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲーミングシミュレーションの構築を通じて学習が行える環境として、本研究で従来から用いているビジネスゲーム開発運用システムYBG/BSel上で動作するゲーム「言語的定性的モデリングゲーム」を開発した。これは、ゲーム上でゲームの開発と実施ができるメタレベルのゲームであり、企業組織内で何らかの共通の問題意識を有する当事者同士が、二つのチームに分かれて、それぞれ、モデリングゲーム内でモデリングされている言語的定性的ゲームのプレイ、プレイされているゲームのモデル修正を行っていくものである。このモデリングゲームの構築により、情報システム人材や情報システム人材を育成しようとする者が、組織内の特定の問題をゲームとしてモデリングしながら様々なタイプの学びを得るためのプラットフォームを獲得できた。なお、本研究の一環として前年度に開発されたCIO育成ゲームは、言語的定性的モデリングゲームの上で実装され、プレイしながら情報システム構築における様々なリスク要因を顕在化させ、それをモデルに組み込むことが可能となった。 前年度に行った「キュレーション学習法の情報システム教育への適用」をさらに高度化させ、情報システムを読み解く力を育成するために、情報システムや関連領域をテーマとしたキュレーションの教育効果を測定し評価した。結果、キュレーション成果物の学習者同士の共有が、積極的意図を持って他者の視点を求めるように態度が変容することが確かめれた。関心の対象をモデルや言語の形で表現する行為において、その過程での成果物を共有が、当事者の分析の深さや広さの拡張を促進することが示唆される。キュレーション学習法の情報システム教育への実践は、情報処理学会の情報システム教育コンテスト(ISECON2015)にて、最優秀賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の当初目標(1)デザイン科学IS研究とビジネスゲーム構築の両アプローチに共通の哲学的基盤の整理、及び(2)ゲーミングシミュレーションの構築から学ぶという学習手法の理論的基盤の整備は、前年度内に目標を達成したが、(3)ゲーミングシミュレーションの構築を通じて学習が行えるプラットフォームの開発は、前年度に着手できなかったため、今年度に実施するよう計画を改めた。今年度は、上述の目標(3)を達成し、さらに、今年度までに行った研究の成果については、各種学会等で報告しており、また次年度においてもすでにいくつか発表が予定されているが、当初目標であった(4)提案手法のIS人材育成に対する評価モデルの構築は、十分に達成できなかった。この理由は、昨年以上の学内業務負担の増加が起因しており、本研究に対するエフォート率を上げられなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初目標(4)提案手法のIS人材育成に対する評価モデルの構築を重点的に推進し、さらに目標(5)提案手法の有用性と有効性の評価」を上半期に終了させる。目標(5)については、情報基盤センター教員に協力を要請し、情報基盤センター研究プロジェクト部門の研究として行うことが決定している。目標(6)IS人材育成向けの教材の開発と公開については、当初予定を遅らせ下半期から開始する。ただし、目標(6)については、これまでの研究の副産物としていくつか教材のドラフトが作られているため、期間を短くしても達成可能である。
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Research Products
(9 results)