2017 Fiscal Year Research-status Report
役員報酬と企業不祥事抑止に関する実証研究-日米英の比較-
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26380466
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
三好 祐輔 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (80372598)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 法と経済学 / ワルラス不均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、金銭貸借媒介手数料をめぐって社会的に注目を浴びた企業とそうでない企業において、実施される貸出しとその貸出金利に違いがあるのかに注目すると、貸出し金利の平均値が、不祥事を起こした企業も起こさなかった企業も約26%であり、貸出金利に差があるとは言えないことがわかった。営業停止命令を受けた企業も上場廃止には至らず、貸出金利も不祥事を起こさなかった企業と比較してほとんど差がなかった。それゆえ、不祥事を行い金融庁から行政指導を受けた貸金業者については大きい影響は受けておらず、不祥事企業として取り上げられた影響は、消費者金融市場全体に波及していないことを意味する。また、消費者金融全体の貸出し金利の平均値は35.2%であり、全ての消費者金融が金利規制の対象となっていないため、相変わらず高水準で金利が推移していることである。つまり、金利規制の有無に関わらず、市場メカニズムが働いていないで不均衡状況にあることがわかる。こうした市場の状況を生み出す背景には、借り手と貸し手の間には「情報の非対称性」という問題が存在することが原因で、信用リスクの高い借り手が現れても、貸し手はそれを識別する手段がないため、通常よりも高い金利を課さざるを得ないという逆選択が起こっていることを意味し、また逆選択が起こっていることをミクロ経済理論モデルで説明することに大きな意義があるといえる。以上の点から、消費者金融に加え事業者金融及び販売信用を含めた貸金業者全体では、平成13年以降、貸出残高を増加させる傾向にあるのは、株主と経営者間の情報の非対称性が大きい場合、経営者が自由に処分可能な内部資金を持つことが、不適切な貸出しを拡大し、過剰貸出しを招いている。一般的には負債による資金調達が大きい企業は、貸出しを抑制する(過少貸出し問題)傾向があるが、消費者金融会社には負債による規律が働いていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のの実証分析結果に、アンケートを用いたシュミレーションの分析結果を加味し、Springer社からApplied Approaches to Societal Institutions and Economics (New Frontiers in Regional Science: Asian Perspectives)で公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年5月より、経営判断を客観的な視点から厳しくチェックするため、社外取締役が本格的に導入されたことは記憶に新しいが、社外取締役が企業不祥事を防止するためのインセンティブ付与についての理論的考察を考えている。これまでは、経営者や社内取締役について、その持株比率に注目すれば、持株比率の高い経営者ほど不法行為を慎み、持株比率の高い社内取締役ほど不法行為を抑制することが分かっている(三好・都築[2013])。しかし、社外取締役については、当該企業との独立性を前提に経営者が選任しており、持株比率なしの取締役と考えられる。それゆえ、社内取締役のように企業不祥事を抑制する効果は全く期待できない。しかし、企業不祥事を起こした2割の企業は株価の下落が深刻なため、深刻な状況の発生を防ぐにはどうするかが重要である。当概企業と独立性の強い社外取締役に不法行為を抑制させる役割を担わさせるためには、強いインセンティブを付与する必要があるが、この役割をなぜ社外取締役に担わせるかということを明らかにすることを予定している。たとえば、企業業績に強く連動した十分な報酬によって社外取締役に経営者の不法行為を抑制させる役割を担わせることの意義を明らかにする。上記の理由により、社外取締役の当初より期待された役割が果たされることになれば、社外取締役導入の意義が生まれることになる。
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Causes of Carryover |
国内の学会発表でした内容が、経済理論モデルと仮説の整合性が付かなかったので、データの洗い直しとモデルの再構築をする必要があった。最終年度の今年度は、2018年の初めに海外学会発表の予定であったが、上記の理由により延期せざるを得なかった。また、関連する法律・経営学関連の図書の購入であったが、研究内容の公表時期が遅れたため、その購入を先延ばしにせざるを得なかったことが主な理由である。また、現状の課題から派生する新たな仮説が導出できそうなので、残り一年を有効に使って論文の執筆活動に勤しむ予定である。上記の理由により延期せざるを得なかった。
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Research Products
(4 results)