2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380467
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
土肥 将敦 法政大学, 現代福祉学部, 准教授 (50433157)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソーシャル・イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「社会的課題の解決に取り組むビジネスを通して、新しい社会的価値を創出し、経済的・社会的成果をもたらす革新」を意味する「ソーシャル・イノベーション」が、どのような主体によって、どのようなパターンを経て特定の地域から他地域に広がっていくのかについて明らかにすることを目的としている。 近年、ソーシャル・イノベーションという用語は、組織経営分野のみならず都市開発や、デザインの分野においても頻繁に用いられており、その定義も論者によってさまざまに行われている。本研究では、ソーシャル・イノベーションを「社会的課題の解決に取り組むビジネスを通して、新しい社会的価値を創出し、経済的・社会的成果をもたらす革新」と定義している。この定義の特徴は、4つのポイントがあり、第1に社会的課題の解決を目指したものであること。第2に、社会的課題の解決に対してビジネスの手法を用いること。第3に、最終的な成果として経済的成果と社会的成果の双方を求めていること。第4に、新しい社会的価値を創出するということ、である。 平成26年は病児保育事業を展開しているNPO法人フローレンスを調査対象とし、①非施設型の病児保育サービス、②保険・共済型経営の導入、を基本コンセプトとする新しいビジネスモデルをソーシャル・イノベーションとして位置づけてこれらがどのように実現され、また普及しているのかを定性的な調査により明らかにした。 その結果、フローレンスのソーシャル・イノベーションの実現プロセスは、リカーシブな側面を有するものであること、また「訪問型」の病児保育事業が創出されたことにより、これらは従来の小児科等での看護を中心とする「施設型」の病児保育と基本的な考え方が大きく異なっていること、そして両者が今後どのような関係性を構築できるかが病児保育市場全体の鍵を握っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査はほぼ予定通り実行され、2015年度内に研究成果としてケース集が刊行されることになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ソーシャル・イノベーションの調査対象として、当初予定していた対象以外に、イギリスにおいてフェアトレード事業を展開しているCafedirect, Divine Chocolate LTD等も候補として検討している。このため、現在はフェアトレードにかかわるイギリスのソーシャル・ビジネスが巨大企業に支配された市場においてどの程度競争力を有しているのかについて先行研究を中心に整理している段階である。
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Causes of Carryover |
アルバイト人件費(アルバイト時間)が当初予定金額を下回り、翌年に繰り越し使用することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費、旅費、人件費・謝金を予定通り使用していく。
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Research Products
(5 results)