2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380467
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
土肥 将敦 法政大学, 現代福祉学部, 准教授 (50433157)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソーシャル・イノベーション / ソーシャル・ビジネス / 社会的企業家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「社会的課題の解決に取り組むビジネスを通して、新しい社会的価値を創出し、経済的・社会的成果をもたらす革新」を意味するソーシャル・イノベーションが、どのような主体によってどのようなパターンを経て特定の地域から他地域に広がっていくのかについて明らかにすることを目的としている。平成27年度は、前年度まで実施してきたフィールド調査のとりまとめを行った。具体的には日本国内のソーシャル・イノベーションの事例として、病児保育事業を展開しているNPO法人フローレンスの創業期から現在までのビジネスモデルの構築のあり様や、そのモデルの広がり、また新しい社会的価値の広がりという点についてまとめ、『ソーシャル・ビジネス・ケース』(中央経済社、第2章、共著)として出版した。さらに、ソーシャル・イノベーションの成立を左右することになる消費者からの支持の獲得の構造について、従前より調査を行ってきたヤマトグループの「宅急便1個につき10円寄付活動」を事例として論文としてまとめている(共著)。また本研究の補足的な調査として、近年アメリカで急速に普及している、B Corp認証およびBenefit Corporation法人格の調査についても進めてきた。これらの調査では、「企業形態でソーシャル・ビジネスを行う場合、その“社会性”をどのようにして“正統性あるもの”としてさまざまなステイクホルダーに対して示していくか」が大きな問いとなっている。こうした企業全体への認証制度や新しい法人格の普及が、アメリカにおけるソーシャル・イノベーションの創出と普及にどのように関わってくるのかが今後の検討課題になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査はおおむね終了しているが、補足的な調査として位置づけていた海外調査の実施については日程的な関係で実施することができなかったため、今後の検討課題としている。
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Strategy for Future Research Activity |
ソーシャル・イノベーションやソーシャル・ビジネスの普及戦略を考えるにあたって、アメリカで社会的に責任ある事業体の法人格として普及しつつあるBenefit Corporation法人格の広がりや、非営利組織B LabによるB Corp認証の広がりについても現在調査を進めている。こうしたアメリカの動きは、日本におけるソーシャル・ビジネスや社会的企業に対する新しい法人格創設の動きにも繋がって行くと考えられる。
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Causes of Carryover |
海外調査の日程が確保できず調査を延期したため渡航費等が翌年に持ち越しすることになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の調査計画の中で、昨年度実施できなかった調査について新たな調査先を検討し実施する予定となっている。
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Research Products
(4 results)