2014 Fiscal Year Research-status Report
M&A実施企業における内部成長要因の変化 -企業成長に向けた取組みの解明-
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26380483
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
篠崎 香織 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (50362017)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | M&A / 研究開発部門 / 内部成長要因 / 知識移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、大規模質問票調査の実施に向けて、先行研究のレビュー、質問票の設計および分析枠組みの設計することを計画していた。 先行研究のレビューはある程度進めることができた。しかし、以下の通り、研究方法を変更したため、変更にあわせて研究を進める準備に時間を費やし、H26年度は学会発表等の成果を出すことができなかった。 研究方法の変更については、次の通りである。 H26年度までに購入したデータベース(NEEDS-Japan Corporate Watcher)をもとに、M&A実施企業について精査した結果、数は多くないが技術獲得および研究開発強化を目的に、海外企業を買収しているケースがあることがわかった。また、そうした企業のその後の活動や実績について、新聞記事検索等を通じてある程度把握できることがわかった。以前行った質問票調査では、回答企業が挙げるM&Aの実施目的は多様であり、技術獲得および研究開発強化を目的にしたM&Aを実施した企業のみを取り上げ分析することは、サンプル数の問題でできなかった。こうした経験を踏まえて、今回は特定のケースを取り上げ、M&A実施後の研究開発部門内の変化および、当該企業の研究開発部門を取り巻く環境の変化を観察することを通して、M&A後の研究開発部門のマネジメントにおける課題を明らかにしていく。その際、知識移転に注目し、イノベーションを阻害する要因を究明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究が計画通り進んでいない主な理由は、研究方法を変更したためである。 研究実績の概要で書いた通り、当初は質問票調査の実施を予定していた。しかしながら、本テーマを進めるにあたり、1つのケースについて取り上げ、深く掘り下げていく必要があるとの考えにいたった。今後は研究の趣旨に適ったケースを選択し、インタビュー調査を実施する予定である。ケースを選択し、インタビュー調査の際の項目については先行研究を参考に検討しているところである。 以上の通り、研究方法を変更することにした結果、研究の進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査、および公開資料(新聞記事、雑誌の記事等)をもとにした事例研究を行う。予定では、1つの企業が海外企業との間に実施した2つのM&Aの事例を対象にする。 今後の研究の推進策としては、第一に、インタビュー調査を実施する前に、分析枠組みを設計しておくことである。具体的には、①M&A実施後の研究開発部門内の変化、②当該企業(研究分野)を取り巻く研究開発環境の変化、③非買収企業(部門)との連携のあり方と連携のプロセス等、である。第二に、特に先述した③に関わってくるのであるが、知識移転がどのようになされ、移転された知識がどのように活用されたのか等、知識移転に関する先行研究は多数行われ来ているため、このレビューをさらに進め、分析枠組みを検討する際に活用する。第三に、以前この研究とは別に行った研究の中で、日本企業の海外現地法人を対象にした調査を実施しており、買収によって日本企業が海外現地法人を子会社化したケースも含まれているので、それらを対象にした分析を行うことである。そうすることで、現地における海外現地法人の活動の実態、現地法人と本社との間での知識移転の実態および知識が活用されているかの様子等についての知見を得ることが可能になる。 本研究に着手するにあたり用意した研究計画に基づき進める一方、俯瞰的な見方もしていくことによってバランスの取れた研究にしていきたい。
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Causes of Carryover |
H26年度は、質問票実施に向けた情報収集として、有識者への研究アドバイスおよび関係企業へのプレインタビューを実施する予定でいた。しかし、勤務先の変更があったこともあり、時間的余裕がなく使用計画の通りに進めることができなかった。 また、質問票調査の実施を見直したため、それに係る費用を支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、インタビュー調査を実施するためその費用や、インタビュー調査前に有識者へのアドバイスを受けるための旅費を中心に支出を計画している。また、インタビュー調査に関連して、電子機器等の購入も計画している。
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