2015 Fiscal Year Research-status Report
研究者・技術者の流動性における社会構造と文化構造の影響-日・仏・米比較-
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26380489
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤本 昌代 同志社大学, 社会学部, 教授 (60351277)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高流動性社会 / 専門職 / 組織コミットメント / 文化的背景 / 制度的要因 / 就業観 / 転職行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の研究実績に関して1.学会での研究成果報告 2.現地調査のための文献精読 3.フランスでの情報収集 4.フランスの研究者との連携の4項目について報告する。 1.については、(1)SASE(Society for the Advancement of Socio-Economicsという国際学会)で高流動性地域の人々の転職行動と組織コミットメントに関する調査結果の報告、(2)IUAES(the International union of antholopological and sociological sciences という国際学会)で、高流動性社会で就業する人々の本社への意識について調査結果の報告、(3)ESA(European Sociological Association という国際学会)で多国籍企業への横断比較研究を用いてフランス、日本、その他のアジアの国々の比較報告をした。 2.については文献収集とその精読に努めた。 3.についてはフランスでの在外研究が始まり、現地調査の準備を行った。現地情報収集のためにフランス語の語学力向上に努めた。フランスの就業状況に関する集め、情報の解読を行った。 4.については、(1)フランスの研究者との連携のために、フランス社会学会の情報を分析し、連携できそうな分野の研究者を絞り込んだ。(2)3.で収集した情報の中で有用な論文、報告書の作成者にコンタクトを取って面談した。その後のネットワーク、情報付与を受けた。具体的にはフランス社会科学高等研究院(EHESS)によるサポートが非常に重要であった。Dauphine大学の仕事の社会学の代表的な研究者にも会い、有用な情報を付与された。労働社会学・労働経済研究所(LEST)の研究者からも重要な情報、論文、報告書を付与された。 これらの活動により、フランスで就業する人々の転職行動、就業観、文化的背景、制度的要因に関する情報が蓄積されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているといえる理由 <良い理由> 2015年度はフランスの就業構造、文化的背景、制度的要因などに関する情報収集を行ったところ、予想を超える「仕事の社会学」に関する大量の研究蓄積があることがわかった(日・米・独に比べてフランス社会学会は非常に充実していた)。また自身による量的調査を一から企画する必要性も出てくることも想定していたが、様々なネットワークを構築できたため、そこから情報を得た結果、フランスには日本にはない重厚で大量の量的調査データがあり、外国人研究者にも使用許可が与えられることが判明した。そのため、どのデータが自身の研究に適合的か判断することができれば、非常に有用なデータを使って分析することが可能であることがわかった。したがって調査に関する労力、資金が節約できた。2015年後半はネットワーキング、情報収集に努めたことで、非常に良質の情報を獲得できた。 <時間がかかる理由> 上記の理由により、予想以上に成果があったが、英語化されていない情報も非常に多いため、フランス語の読解力向上がさらに求められることになった。そのため簡単な会話力程度では研究は進まないため、フランス語の文献を読むために、アカデミックライティング、リーディングの能力向上に時間を要した。 <結果としておおむね順調に進展していると言える理由> 上記の2点の理由から、予想以上の成果と、当初、英語でカバーできると考えていた部分をはるかに超えるフランス語での情報量のために、フランス語情報、文献解読に時間を要したことから、相殺して、おおむね順調と捉えている。2016年度は現在よりも多少はフランス語文献を読むスピードも高まると予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 量的データの入手が可能となったことから、フランス語での情報解読を引き続き行う(そのためのフランス語能力の向上にも努める)。 2.量的データは、回答者を取り巻く社会的状況を理解できなければ、ミスリードするため、フランスの就業構造、雇用制度、転職や組織に対する意識などについて、制度に関する情報の収集、インタビュー調査を精力的に行い、量的データの結果を読み取れるよう質的理解に努める。 3.これまでの総まとめとして、研究成果を論文で発表できるよう、2016年度後半は論文執筆に集中する。
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Causes of Carryover |
2015年度は在外研究に出られたことから、年度後半に渡航費用が軽減できたため、後半に研究費使用を節約できた。しかし、これは先に述べた通り、フランスに来て情報収集、調査に関する進度が順調であることと、英語圏ではないため、調査にコストがかかることから、2016年度の研究を充実させることができる研究費に有効に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度の残額は(1)(2)の内容に使用する計画である。 (1)「被雇用者へのインタビュー調査数の増加」調査のための交通費、調査協力謝礼、インタビュー内容のまとめ作業のためのアシスタント謝礼にはコストがかかるが、2015年度予算を使用することで、20人程度の増加が可能となる。調査費用増加として50万円程度を想定 (2)「フランス調査に関する論文の翻訳費用」 フランスの研究者と交流する中で、フランス語での論文発表を勧められたため、英語だけでなく仏語化も試みたい。まず翻訳を発注して、自身でも校正するが、さらに専門分野がわかる専門家への校正依頼代で40万円程度を想定
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Research Products
(4 results)