2016 Fiscal Year Research-status Report
イノベーション確率最大化基準にもとづくイノベーション戦略・組織の抜本的再検討
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26380506
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原田 勉 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20294192)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イノベーション構造 / イノベーション・マトリックス / ダイナミック戦略 / ダイナミック組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は本年度において3年目に入り、研究成果を具体的に出していくと同時に、残りの期間における新たな研究の展開を目指しデータベースの構築にも取り組んだ。 前年度は、多部門間のマクロモデルの構築を行い、その経済的特徴について主に理論的な分析を行った。今年度は、そのマクロモデルをさらにイノベーションモデルとして発展させるとともに、そのモデルを用いた実証分析をも行った。具体的な研究成果としては、産業間におけるイノベーションの関係性をイノベーション・マトリックスという独自の概念を用いてモデル化し、そのモデルをもとに実証研究を行った。その成果は、Journal of Economic Structures に査読論文として掲載された(Harada, 2016)。 また、いままでのマクロレベルの研究を補完するものとして、企業というミクロレベルでいかにしてイノベーションを促進していくのかという問題についても取り組んだ。具体的には、従来のスタティックな戦略、組織の捉え方ではなく、よりダイナミックな視点から戦略、組織を捉えたダイナミック戦略、ダイナミック組織という概念を提唱し、企業レベルでイノベーションを推進するための条件について議論を行った。その研究成果は、日本実業出版社より著書として出版した(原田、2016)。また、国民経済雑誌に論文としても発表した(原田、2016)。 また今後の実証分析のデータとなる資料を購入し、データセットの構築を行った。今後、これらのデータを用いた実証分析にも取り組んでいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度の課題は、多部門間マクロモデルの構築であったのに対し、今年度の課題は、そのマクロモデルからイノベーション構造をモデル化し、実証分析をすること、そしてミクロレベルでイノベーションを促す要因を研究することであった。今年度は、前者の論文が海外の学術誌に掲載され、また後者の研究は論文1本と著書として出版することができた。1年という期間における研究成果として考えた場合、計画以上であったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はイノベーション構造についてのモデルをさらに異なったデータを用いて実証分析をする予定である。また、イノベーション構造を反映した新たなマクロモデルの構築、シミュレーション分析、データによる実証分析を試みることを計画している。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの予算執行ができた。資料購入の際には、業者と交渉し、通常価格よりもかなり割引いた額で購入することができた。その分、計画よりも多くの資料を購入することができ、そのうえで6,852円が残ることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度で6,852円が加算されても予算計画が大きく変更されることはない。当初の計画通り進める予定である。
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