2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the development processes of international business ecosystems in solar cell industry
Project/Area Number |
26380507
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 陽一 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00510249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 純一 東洋大学, 経営学部, 准教授 (30396824)
辻本 将晴 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (60376499)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経営学 / ビジネス生態系 / 太陽光発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画の最終年度であり、以下の3つの作業に取り組んだ。 第1に、先行研究レビューを深掘りし、ビジネス生態系について4つの異なる潮流の研究が行われてきたことを示した。1つ目は生態系との対比から事業における資源やエネルギーの流れを見ようとするものである。2つ目は、事業の成否をより強く意識した潮流であり、価値創造と価値獲得とが主たる関心である。3つ目は、2つ目の派生と言えるものであり、競争の尺度や標準となるプラットフォームの分析に特化している。4つ目は、営利企業、非営利企業、政府、コンソーシアムなど、より多様なプレイヤーを含むネットワークを分析する潮流である。 第2に、主に日本国内を対象として、太陽電池と太陽光発電の事業を始めた経緯等に関する聞き取り調査を実施した。太陽光発電関連部材の商社に対する聞き取り調査からは興味深い事実が浮き彫りになった。結果を総合すると、これらの企業には3つの共通点がある。第1に、住宅用太陽光発電向け商品を中心に事業展開している。第2に、大規模な発電設備への参入には必ずしも積極的ではない。第3に、それには事業の経路依存性やしがらみが関係している。 第3に、日本における太陽光発電のビジネス生態系の発達を跡づけるための定量的な分析を行った。具体的には上場企業を対象として、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が開始されたことで太陽光発電事業を開始した企業を特定し、その参入の意思決定が何によるものなのかを検討した。発見事実をまとめると、太陽光発電の固定価格買い取り制度は多くの上場企業の参入を促したが、製造業に関して言えば、それは何らかの経営課題を解決しうるような新規事業だと見なされていない可能性があり、非製造業においては特定の課題解決に資すると見なされているが、企業の規模によって解決したい課題が異なる。
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Remarks |
DP2017-J06は本科研費による研究成果の一部である。
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