2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Studies of Inter-firm Collaboration in Global Supply Chains
Project/Area Number |
26380516
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
下野 由貴 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (20379473)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サプライチェーン / 自動車産業 / エレクトロニクス産業 / 企業間協働 / 複社発注 / 複社供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、サプライチェーンのグローバル化がサプライチェーンを構成する企業間の協働のあり方に与える影響について考察することを目的とする。具体的には、日本を中心とした自動車産業とエレクトロニクス産業の比較を行う。日本の自動車産業は比較的クローズドなサプライチェーンに基づき、自動車メーカーと自動車部品メーカーとの間の長期継続的な協働関係を構築してきた。しかし、近年はグローバル化によって、オープンな関係へと移行する傾向が見られる。 他方、エレクトロニクス産業では、当初からグローバル化しているサプライチェーンの下で、厳しい競争環境に直面している。両産業のサプライチェーンは異なる特徴を有していたが、グローバル化によって、その特徴がどのように変化しているのであろうか。また、製品のモジュール化がサプライチェーンにおける企業間協働にどのように影響を与えるのであろうか。本研究ではこれらの課題について明らかにすることを目的としてきた。 研究期間全体を通して、自動車産業とエレクトロニクス産業が近似化していることが明らかとなった。特に、自動車の電動化・電気化がそれに拍車をかけている。また、エレクトロニクス産業の成熟化によって、エレクトロニクスメーカーは、新たな稼ぎ頭として自動車関連事業へと多角化させていることも近似化している要因である。 サプライチェーンにおける企業間協働は、オープン、あるいはクローズドという単純な二分法では把握できない状況となっている。買い手が複数の売り手と取引する複社発注の議論はこれまでにもあったが、逆に、売り手が複数の買い手と積極的に取引する複社供給のあり方や関係構築が今後のサプライチェーンにとって重要となることが明らかとなった。
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