2015 Fiscal Year Research-status Report
企業のHRMと業績-交差遅れモデルによる因果関係の分析-
Project/Area Number |
26380520
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 裕 東北学院大学, 教養学部, 教授 (60170362)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 人的資源管理 / 企業業績 / 交差遅れ分析 / 因果関係 / ハイ・インボルブメントモデル / 参加型人的資源管理 / 組織的公正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人的資源管理施策(以下HRM施策)が企業業績に及ぼす影響を実証的に検証することにある。その際、施策と業績の相関分析だけでなく、同一企業に対する2時点での調査による交差遅れ分析によって因果関係の検証を行うことにした。今年度は、人的資源管理施策と企業業績の2変数の値について、1回目と2回目のデータに基づいて、構造方程式モデリングによる解析を行う予定であったが、ペア単位で削除すると対象サンプル数が少なくなるため(32社)、欠測値処理方法を改善した上で実施することにした。また、今年度は、HRM施策調査回答企業(21社)の従業員(450人)に態度調査を実施した。その結果、HRM施策は企業業績に直接影響するだけでなく、従業員の態度を媒介して間接的に影響することが明らかになった。特に、参加度の高いHRMシステムが企業業績を高めており、この結果はハイ・インボルブメントモデルに基づく仮説を支持している。さらに、HRMの認知が従業員の公正感や態度に影響することも見出されており、HRM施策が従業員にとって公正と感じられているかどうかが従業員の態度・行動そして企業業績への影響という点で重要であるという組織的公正モデルの考え方を支持する結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画は、人的資源管理施策と企業業績の2変数の値について、1回目と2回目の企業調査データに基づいて、構造方程式モデリングによる解析を行う予定であったが、欠測値処理方法の再検討が必要になったため、実施されていない。ただし、相関分析の結果は、学会および論文として公表している。また、従業員の態度調査を実施したため、HRM施策から企業業績への因果プロセスの解明には一定の成果を見出すことができたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、欠測値処理方法の再検討を行った上で、構造方程式モデリングによる解析を行う予定である。その結果について従業員調査の結果を含めて、ハイ・インボルブメントモデルおよびサイバネティックアプローチの点から検討を行い、学会発表や論文等で成果を公表する。
|
Causes of Carryover |
今年度の予算は企業調査報告書の作成・送付、従業員調査の配布・回収・データ分析に主に使用され、ほぼその枠内で有効に消費されたが、わずかであるが残額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は最終年度に当たるので、残額を含めてデータ分析と成果発表に使用される予定である。
|