2016 Fiscal Year Annual Research Report
Will the persons with intellectual disabilities be substituted by persons with psychiatric disabilities when the minimum wage increases?
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26380521
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
眞保 智子 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (10341794)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / 最低賃金 / 労労代替 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最低賃金の引き上げにより、最低賃金もしくは最低賃金除外申請により最低賃金に満たない賃金で働いている知的障害のある労働者に対して企業がどのような経営行動を取るのか、その実態を明らかにすることを目的としている。調査対象は、障害者を雇用する目的で障害者雇用促進法の規定により設立される特例子会社と全国重度障害者雇用事業所協会に所属している企業である。調査方法は、構造化面接法によるインタビュー調査と障害者雇用促進法に基づき毎年6月1日現在の状況を調査する「障害者雇用状況報告」により平成28年6月1日現在特例子会社448社に対するアンケート調査である。なお、アンケート調査は、特例子会社のみに実施した。 インタビュー調査では、1 知的障害のない発達障害者が精神障害者保健福祉手帳を取得して、精神障害者としての障害者労働市場へのアクセスが周知されてきたことから、企業の選択肢の幅が広がってきている、2 これまで知的障害者を戦力化してきた企業では、雇用管理のノウハウが蓄積されていることから同様の傾向のある知的障害者を求める実態もある、3 「労労代替」が生じている企業では、障害者が行っている仕事内容が異なる可能性がある、等が明らかになった。 アンケート調査は、調査対象企業448社のうち、170社より回答を得た。なお宛名不明により4社は返送された(回答率38.3%)。現在分析の途上であるが、最低賃金の引き上げに伴う課題として、人件費増加による収益確保の難しさが指摘され、その対応として単価の高い仕事受注やそのための能力開発をあげる企業が多かった。精神障害者の雇用には、医療との連携や専門知識や経験のある支援者の配置などの課題が指摘され、「労労代替」の拡大は確認できなかった。
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