2014 Fiscal Year Research-status Report
小売業における人材ポートフォリオとライン管理者の人材育成行動
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26380534
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐野 嘉秀 法政大学, 経営学部, 教授 (40345111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 徹也 流通科学大学, 商学部, 教授 (00405929)
大木 栄一 玉川大学, 経営学部, 教授 (60713659)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ライン管理者 / 人材育成行動 / 小売業 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.小売業における現場第一線のライン管理者による人材育成行動(販売員の技能・キャリア志向の把握、仕事の割り振り、動機付け等)の実態を明らかにすることを研究目的としている。ライン管理者の人材育成行動は、ライン管理者が担う人事管理に関わる行動の一つと位置づけることができる。そこで、本年度は本研究(3年間)の初年度であることから、小売業及び人材育成行動に限定せず、より一般的にライン管理者の人事管理上の役割に関する英国等での先行研究を収集し、そのレビューを通じて、研究・分析枠組みの検討を行った。ライン管理者の人材育成機能に関する研究レビューの成果は、「ラインマネジャーの人材育成機能に関する研究レビュー」『法政大学イノベーションマネジメント研究センターワーキングペーパー』にまとめた。同成果からの知見として、先行研究の蓄積のある英国等において、①ライン管理者が人材育成に関して主に担当するのは、必要性の特定、対象者の選定、直接の指導が中心となること、②ライン管理者が人材育成に関わることで、幅広い従業員 に人材育成の機会を与えることや、組織のニーズと個人業績を踏まえた人材育成がしやすいなどの利点があること、③それに応じたラインマネジャー の技能形成のための教育訓練が必要とされることなどの実態や課題があることを把握できた。 2.食品スーパーマーケット企業1社を対象として、店舗での人材育成に関する事項を中心に、本社人事担当者へのインタビュー調査を実施した。インタビュー記録を作成したが、匿名性確保のため現時点では公表していない。 3.本研究のテーマに即して、既存のアンケート調査の個票をもとに、人材育成に積極的な売場マネジャーの特徴を分析し、「管理職の部下育成行動と職場での人材育成に関するパフォーマンス ―小売業の売場マネジャーなどの売場管理者に注目して―」を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度にあたる本年度は、先行研究の整理を中心に研究を進めた。先行研究の整理にも基づく成果をとりまとめることができ、次年度以降の研究に向けた分析枠組みの検討については、十分に進めることができたと考える。他方で、調査によるデータ収集については、調査先企業との実施時期調整等の都合もあり、調査実施の小売企業は1社のみにとどまった。しかし、同事例については、有益な情報を得ることができた。また、業界団体との関係構築を進めることで、次年度以降の本格的な調査の実施に向けた準備を進めることはできた。さらに、本研究の関心に即して、既存アンケート調査の個票を分析し、売り場マネジャーの部下育成を促す要因についての論文を公表した。以上から、研究は「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、1)前年度の研究成果および先行研究を踏まえた調査分析枠組みの検討を行うほか、2)小売企業の事例調査を実施する。より具体的には、上記1)に関して、前年度と同様、研究分担者と研究会を開催し、研究に関して議論し情報共有、研究内容の充実化をはかるとともに、調査研究の進捗の確認を行っていく。上記2)に関しては、上記1)の知見を踏まえて、人材ポートフォリオに関して特徴的な小売企業を事例として選び、人事担当者等に対するインタビュー調査および資料収集を行う。26年年度は、小売業の中でもチェーンストア企業のみを事例としたことから、本年度は百貨店業など、他の業態の小売企業についても調査対象を広げて研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度においては、事例調査先との調査実施スケジュールの調整の都合から、調査実施企業が1社(当初の研究計画では複数社を予定していた)にとどまった。これに伴い、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度においては、実態調査の進捗が当初計画より遅れた分、先行研究の整理を進めることで研究の進捗をはかった。平成27年度については、実態調査を中心に研究を進めることで、次年度使用額と27年度分を合わせて有効に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)