2016 Fiscal Year Research-status Report
同一価値労働同一賃金をめざす職務評価の制度設計の研究
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26380535
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
遠藤 公嗣 明治大学, 経営学部, 専任教授 (20143521)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人的資源管理 / 賃金 / 同一価値労働同一賃金 / 職務評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年1月に、安倍首相が「同一労働同一賃金」を所信表明演説した後、新聞や雑誌のインタビュー取材、雑誌記事や論文の執筆依頼を受けることが非常に多くなった。これに応じるために、同一価値労働同一賃金をめざす職務評価の発展史を繰り返し検討し、その理解を深めることができた。その結果として、啓蒙論文のほかに、下記のILO100号条約についての重要な学術論文も刊行できた。また、関連事項についての労働法学での通説的な理解を批判する論文も執筆できた。 欧州諸国で同一価値労働同一賃金をめざす職務評価が普及したのは、1951年のILO100号条約にはじまる考え方が、各国で実質化された過程であった。本年度の研究の途中で、ILO100号条約の審議過程の公式文献や議事録がすべてILOのサイトにアップされていることを知り、それら全部を読み込んだ。その結果、ILO100号条約の内容に理解にこれまで誤解が多いことがわかった。そのため、その是正をめざす学術論文を急きょ執筆し、本年度内に公刊できた。 英国の労働組合ユニゾンの担当者から、その知人であるところの、オーストリアとドイツの公共部門で男女均等待遇の促進を担当する職員を紹介されていた。それをたよりに、8月末から9月上旬にかけて、訪問しインタビュー調査を実施した。紹介があったため面談はできたが、しかし、実質的な話は聞くことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
6月より、社会政策学会の代表に就任したため、その業務に時間をとられ、予定した研究がおくれることがあった。
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Strategy for Future Research Activity |
ILO100号条約の審議過程の詳細をはじめて解明できた結果、ILOの審議に加わった米国政府代表と代表顧問Frieda S. Miller米国労働省女性局長の重要な役割があきらかになった。彼女の個人文書はハーバード大学に保管され、その中に、それなりの量のILO関連文献もあることがわかった。同一価値労働同一賃金をめざす職務評価の普及を、ILO100号条約を推進した当事者がどう考えていたのかを解明するため、この文献調査をおこないたい。
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Causes of Carryover |
研究が遅れたため、購入して研究すべき図書や文献および研究で使用するPC関連物品が少しだけの購入で十分であった。また円高、および安価な航空券と宿泊先が得られたため、外国出張旅費がやや低額で済んだ。そのため、残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
米国に出張し、ハーバード図書館が所蔵するFrida S. Miller個人文書の中にあるところの、ILO関係文献を閲覧し関係文献を複写収集する。
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