2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380539
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
入山 章栄 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (00721820)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年注目されている、3社以上の企業が国際間で共同出資をして合弁会社を設立する「複数企業間国際合弁(MP-IJV)」に注目する、既存の研究は「MP-IJVは成功率が非常に低い」とする一方で、「なぜ現実には多くの企業でMP-IJVが好まれるか」を説明できていない。そこで本研究では、Coalition Theory及びFaultline TheoryをMP-IJVに応用し、「(1)相対的に力の弱い企業が、潜在的に『2対1』の関係を作り出すために両国パートナーを含めた3社合弁を好む」、「(2)このようなMP-IJVでは事後のガバナンス変化が起きやすい」という理論仮説を提示し、実証研究する。 本研究は現在きわめて順調に推移している。まず、交付いただいた科学技術研究費を基にして、2014年度に東洋経済新報社より「海外進出企業総覧」のデータベースを購入した。これは1991年から2012年までの日本企業の海外進出状況を網羅したデータベースであり、ここよりMP-IJVを抽出した。その後、他の説明変数の入手状況などから、本研究では自動車部品産業に注目し、日本の自動車部品メーカーのMP-IJVの進出状況を時系列で整備した。また、他のデータベース(日本自動車工業会のデータ等)から、業界の市場不確実性などの説明変数データも整備した。結果として、データセットは完成し、実際に統計分析も進めている。統計分析の暫定的な結果も出ており、それは申請者の仮説をほぼ支持するものであった。この結果を踏まえて論文も作成しており、近日内に草稿も完成予定である。これも踏まえて、平成27年度内に学会誌への投稿を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同論文は平成27年に一次稿が完成し、国際的な経営学術誌である『Global Strategy Journal』(以下、GSJ)に投稿を行った。GSJは、経営戦略論分野で世界最大の学会であるStrategic Management Society(以下、SMS。本部は米シカゴ市)が刊行する国際経営専門の学術誌である。(SMSは他にも、経営戦略論で最も権威のある『Strategic Management Journal』も刊行している。)GSJはまだ比較的新しい学術誌だが、現在急速に国際的な評価が高まっており、その採択率は一割を切っている。筆者の認識では、国際経営論の分野では、『Journal of International Business Studies』に続いてもっとも採択率の低い(=難易度の高い)学術誌である。
幸いなことに、同論文は数ヶ月前にGSJのエディターから、Revised & Resubmitの指示をもらった。すなわち、論文を修正して再投稿することで、最終的に採択される可能性が高まっている(ただし、Major Revision(大幅修正)を依頼されているため、余談は許さない)。現在は、米国の共同研究者とともに、修正方針を議論し、修正を行っているところである。 具体的には、以下のような点での修正の指示がエディターや査読者から来ている。 (1)仮説を導くための理論の明確化。特に、査読者からは、「Faultline Theoryの論理をより強調せよ」との指示が来ており、これに従う予定である。(2)内生性などの計量経済学手法の問題。この点については、既に内生性を取り込んだ手法(ヘックマン手法)による再推計が完了しており、第一回投稿時とほぼ変わらない結果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
このように、同研究は現在、国際的にも評価が高い国際経営論分野の学術誌への最終的な採択を目指すプロセスに入っている。現時点では、共著者と相談の上で論文を修正し、今年の夏までを目処に再投稿する予定である。最終的にこの論文がGSJに採択されるかどうかは、今年度内にはまだ明らかにならない可能性が高いが、最終採択に向けて全力を傾けているところである。
仮にGSJへの採択が適わなかった場合には、GSJよりも若干ランクが低く、しかし国際的には認知度の高い学術誌へ投稿する予定である。
また、本研究とは別に、今回の科学研究費で購入したデータベースを使っての、新たな研究も検討中である。
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Causes of Carryover |
今年度、購入予定の資料を購入できなかったため 次年度に購入持ち越しするため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な資料の購入、海外学会等への出張費
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