2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Study for Relations between Domestic Production and Overseas Production by SMEs in Local Area
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26380540
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
兼村 智也 松本大学, 総合経営学部, 教授 (70367548)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中小企業 / 海外進出 / 空洞化 / 国内事業 / 海外事業 / 現地経営 / 自立化 / 長野県 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域中小企業の海外進出が国内の売上にどのような影響を及ぼすのか、プラスかマイナスか、それを決める要因とは何か、この点を明らかにすることである。プラスの影響を与えるメカニズムには、海外に移行した生産の代替品が国内に発生(パターンAとする)、海外を起点に国内で仕事が発生(パターンB)、海外の仕事の一部を国内で代替(パターンC)があり、それ以外の直接的効果を受けていない(パターンD)の4つのパターンが考えられる。また影響を与える要因として①需要先産業の海外生産の進展度、②生産品・技術、③進出形態、④進出歴、⑤進出国・拠点数、⑥経営者の属性といった企業がもつ与条件が考えられる。この両者の関連性を古くから進出がみられ、その件数も多い長野県中小企業を調査対象にして分析した。 結果として、パターンAの事例はもっとも少なく、①との関係が強い。Bは二番目に少なく、②との関係が強く、生産財ならばプラスをもたらし、プラスチック品・成形技術ならマイナスをもたらしている。Cは最も多く、②、③との関係が強い。DはBに近く②、③との相関性が強いことが明らかになった。これにより、地域にとってプラスをもたらす、より効果的な中小企業の海外進出支援策も可能になる。 また、この分析を通じて一部の企業への影響が変化(パターン間を移行)していることが確認された。その際、最終的な受け皿になっているのがパターンDであるが、ここには直接的効果を受けないにもかかわらずプラスの企業が多く、その多くは海外事業の需要先が国内事業と一致していない、経営が安定しているという現象がみられた。すなわち海外事業が自立しており、これにより当該企業の経営者が国内事業に注力できる環境が整い、それが国内事業の好業績につながっていることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)