2014 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける日中韓自動車部品企業の競争と分業に関する研究
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26380543
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
具 承桓 京都産業大学, 経営学部, 教授 (20367949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
銭 佑錫 中京大学, 経営学部, 教授 (00329658)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サプライヤーシステム / キャッチアップ / 国際経営 / グローバル生産ネットワーク / 自動車部品産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東アジア地域の日中韓自動車部品企業を対象に、後発企業のキャッチアップと学習、能力構築プロセスの実態を明らかにした上、そのプロセスにおける企業間競争と分業体制の変化、その原因とメカニズムについて明らかにすることである。具体的には、中国市場の戦略的位置付けの変化、韓国自動車メーカーの躍進、日系メーカーの新興国戦略と調達戦略の見直しなどといった競争・市場環境の変化の中、①日中韓サプライヤー取引関係の変化と分業構造の変化、②①によるグローバル生産・開発活動への影響、③本社と現地拠点の組織間関係体制、④製品及び市場戦略の比較とキャッチアップ、⑤中国及び韓国サプライヤーの能力構築プロセスと顧客・市場開拓、などの側面から、分業の見直しと競争のダイナミズムを明らかにする。 研究課題の遂行のため、3つの課題を設定する。第1 に、東アジアにおける市場環境の変化と自動車メーカーの調達戦略の変化についてである。具体的には中国市場ニーズと戦略的位置付けの変化、民族系メーカー及び現代と起亜の成長とその要因、日本の自動車メーカーの新興国戦略と調達戦略の変化が日系サプライヤーの中国及び日本事業にもたらす影響などについて明らかにすることができよう。第2 に、中国及び韓国サプライヤーの中国市場戦略と能力構築プロセスについてである。中国自動車メーカーとサプライヤーの関係、中国の産業生産の変化を踏まえつつ、民族系サプライヤーの規模、能力、取引実績などをベースにしたマクロ分析と主要メーカーを選定し、能力構築プロセスを明らかにする。第3 に、グローバル生産・開発ネットワーク分業構造の変化と調整メカニズムについてである。市場環境の変動による生産及び開発機能、顧客先の変化などを踏まえ、具体的な製品開発において、現地拠点と本社との組織間関係と調整メカニズムについて分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調である。平成26年度の主な活動は、3つ挙げられる。第1に、韓国中堅企業調査を仕掛け、成長プロセスとその要因について分析するため、中堅企業論やサプライヤーシステム論という視点から理論的なサーベイを行いつつ、構造的なインタビューのパイロット調査を行った。また、調査対象韓国企業6社の協力を取り付けた。今年度、理論的なフレームワーク構築と共に深く調査を行う予定である。第2に、中国自動車サプライヤー調査において、中国四川省の自動車産業研究院との調査研究協力を得た。パイロット調査として中国ローカル部品企業と民族系自動車メーカー調査を行った。第3に、質問票調査が見送られた。当初計画では、平成26年度に日本サプライヤーに対する質問票調査を実施する予定だったが、別の研究グループにより調査が直近で実施されていたため、企業側の負担に配慮し、質問票調査を平成27年度に延期した。そのため、平成26年度は定期的な研究会を開き、既存文献購読を行いながら、より精緻化した質問票作成作業を行った。それで、質問表調査のための研究費用を中国調査や調査協力を得るところに割り当てた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の計画は以下の通りである。第1に、日本の自動車部品メーカーを対象に質問票調査を実施する予定である。秋ごろ実施を目指しており、今年度中に単純分析、クロス分析を行い、日本自動車産業におけるサプライヤーシステムの変貌と国際経営、とりわけ本国と海外子会社の関係と能力構築のための取り組みや動因などについて概観的な姿を明らかにしたい。第2に、韓国の中堅企業の成長及び能力プロセスについて構造的なインタビュー調査を行い、成長要因を明らかにする予定である。第3に、中国サプライヤーの成長プロセス段階と能力構築のプロセスを明らかにするため、インタビュー調査を行い、理論的なモデル構築のための、変数を抽出したい。第4に、経済のブロック化の中で、東アジア地域の自動車部品産業の変化を客観化するため、NAFTA地域、とりわけメキシコ地域における日本自動車及び部品メーカーの取り組みに関する調査を追加で行う計画(8月予定)である。そうすることによって、日韓中サプライヤーの能力構築や海外展開における問題などをより客観的に分析することが可能になると考える。そのため、支出予定額において旅費の分が多くなると思われる。
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Research Products
(6 results)