2014 Fiscal Year Research-status Report
成長・変化の中国市場における製造業企業の成長戦略と競争力に関する分析
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26380547
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
陳 晋 立命館大学, 経営学部, 教授 (20341670)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Chinese market / middle class / 市場環境 / 企業戦略 / リスク / チャンス / 省エネ / 生産性アップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者は2014年9月9日にアメリカ(IEAS of UC,Berkeley)の研究会で本研究の研究成果を「Emerging Market Changes in Asia and Corporate Strategy Conversions」というテーマで1時間英語で報告し、さらに1時間英語で参加者の質問に答えながら議論した。その後、この報告内容をさらに整理し充実させ、「Market Changes in China and Corporate Strategy Conversions」という論文にまとめ、2015年5月に『立命館経営学』第54巻第1号に公表する予定である。 2014年9月末、単著の『アジア経営論:ダイナミックな市場環境と企業戦略』をミネルヴァ書房から出版し、中国を含めアジアにおける市場構造と企業経営の特質について、特に企業の投資環境とアジア諸国の企業形態・成長戦略、アジア市場進出の状況を重点的に解明している。 2014年10月に「中国経済転換における日本企業のリスクとチャンスに関する研究―省エネと生産性アップ:日中企業協力の新しい道」という論文を『立命館国際地域研究』第40号から公表した。その中で、最近中国経済の成長と変化を観察する上で、中国経済が直面している課題を分析しながら、中国市場における日本企業のリスクとチャンスを認識し、日中企業協力の新しい道を分析した。 2015年2月に広東省の深せん市や東莞市に行って、華為科技、奮達技術など5つの製造業や情報産業に関係ある企業を調査し、この調査結果は2015年9月に開催される『アジア経営学会』の全国大会で報告してから、査読論文をまとめ公表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の方向を調整して、中国市場や中国企業の最新動向に向けて研究を進めている。現在中国では、賃上げと人手不足が同時発生している。長年人件費の上昇や人民元為替レートのアップによって、海外へ輸出する中国製商品の国際競争力が弱められている。それに従って、2014年からパナソニック、ダイキン、シャープ、TDKなど日本企業は中国から日本に生産を移転している。また、ユニクロ、ナイキ、鴻海、船井電機、クラリオン、サムスンなど多国籍企業は相次いで東南アジアやインドで工場を作り、中国から撤退しはじめた。中国国内では受注の減少といった要因を背景に、2015年から内外市場の不景気で在庫が急速に増え、江蘇省蘇州市や広東省東莞市、浙江省温州市といった工場が密集する都市で工場の倒産が相次いでいる。従来のメイド・イン・チャイナは危機に瀕しており、産業構造の転換や企業行動の変化を調査して新しい分析を取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
いま、中国では産業高度化といわれる産業レベルのグレードアップや企業のイノベーション、労働の質の向上などを通じて製造業の質向上に取りこんでいる。本研究はこれから中国の現地企業調査に基づいて、技術進歩と人材養成の両面から観察しながら主にグレードアップしている中国のローカル企業の競争力蓄積戦略を集中的に分析していきたい。この研究はいままでの研究の延長線上にありながら、優れた省エネ技術・設備や生産性向上のノウハウを持っている日本企業にとって大きな商機につながるだろう。 今現在、新しい理論分析の枠組みも完成しつつある。さらに、今年の8月に山東省青島市にあるハイセンスなど中国企業についての調査計画を立てている。今後、珠江デルタや長江デルタにある中小企業を調査していく。
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Causes of Carryover |
次年度に中国、ドイツ、イギリスなど外国で行う学会・研究会への参加・発表や現地企業の調査などの予定が多く入ったので、できるだけ今年度の予算を節約し、効果的に次年度に使いたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年6月19‐20日にドイツのDuisbrg-Essen大学で行う『Innovation in the East-Asian Automotive Industry』の世界大会で研究成果を発表し、その内容を英文の査読論文として2015年度内に公表する予定である。また、2015年8月19~22日にイギリスのOxford大学で行う『Spaces of Innovation Management』の世界大会で研究成果を発表し、その内容を英文の査読論文として2016年に公表する予定である。さらに、2015年8月と2016年2月に少なくとも2回中国現地調査を計画している。 次年度の使用額は主に以上の海外活動に必要な旅費や資料準備費用(文章の翻訳やチェックなど)に使う予定である。
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