2016 Fiscal Year Research-status Report
成長・変化の中国市場における製造業企業の成長戦略と競争力に関する分析
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26380547
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
陳 晋 立命館大学, 経営学部, 教授 (20341670)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国製造業 / 中国市場戦略 / 産業高度化 / Risk & Chance / 商用ドローン / 中国企業 / DJI / 競争優位構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年5月に英文論文“Conversion of Chinese Economy and Opportunity of Japanese Companies”を公表した。続いて, 7月14日にインドの Kolkataにある International Management Institute (IMI)で開催された国際学会12th ANNUAL CONFERENCE of the ASIA-PACIFIC ECONOMIC ASSOCIATION (APEA)で “The Risk & Chance of Japanese Enterprises in Chinese Market”という研究成果を発表し、同8月にそれを査読論文として、米誌のInternational Relations and Diplomacy に公表された。これらの研究は中国経済の成長と変化を観察する上、中国経済が直面している課題を分析しながら、中国市場における日本企業のリスクとチャンスを認識して、日中企業協力の新しい道を探していた。 他方、2016年6月11日に『産業学会第54回全国研究会』において「中国企業イノベーションの新しいパターンに関する研究―世界トップ商用ドローン企業DJIの成長戦略」という研究成果を発表し、さらにそれを査読論文にして『産業学会研究年報』に公表された。この研究は、中国企業成長の新しいパターンを分析し、現在世界商用ドローン業界を牽引している中国のドローンメーカーDJIの成長パターンと競争優位の構築を研究していた。DJIは従来の中国エレクトロニクス企業と違い、制御システムなどのコア・コンポーネントを自ら開発し、短期間で世界商用ドローン市場シェアの70%を占め、製品販売先は中国市場やアジアといった途上国市場ではなく、売上の70%以上は欧米や日本を中心とした先進国市場である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初、世界金融危機後も富裕層に続いて中間層が急成長を見せ、更に内陸成長を強めている中国市場においての製造業企業の成長戦略と競争力について分析するつもりだった。 しかし、近年中国での反日感情は中国進出日本企業やこれから中国進出を目指す日本企業に大きな損害やショックを与えた。その上、中国経済成長の失速や人件費の上昇も同時に発生している。一方、中国は世界へ輸出する製品の生産基地としての競争力が弱まっているが、成長しつつ巨大の市場として、その魅力は依然として大きい。また、環境汚染や生産コスト上昇の圧力の下、中国企業は日本企業の省エネ技術と設備を導入する他、産業高度化や能力を向上するために日本企業の省エネや生産性向上のノーハウも導入する動きが強まっている。このような状況に鑑み、本研究はいままでの中国の経済成長と市場拡大の経緯を再確認した上、中国経済成長パターンの転換と直面している問題、特に日本企業が直面しているリスクを分析している。その上で、中国市場変化の中、日本企業のチャンスを探求している。 さらに、本研究は中国で行った現地調査に基づき、人件費高騰や輸出市場縮小など厳しい経営環境の中、伝統的な製造業製品の生産から新興産業へ転換しながら進化する中国企業の動きを観察し、産業高度化の圧力の下にあるローカル企業の技術グレードアップを分析している。今年度は、現在世界商用ドローン業界を牽引している中国のドローンメーカーDJIの成長パターンと競争優位の構築に関して研究し、学界で初めて学術論文をまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度(本研究の最終年度)には最近、急成長している中国のスマホ企業の成長戦略について現地調査を含め、学会報告や査読論文をまとめていきたい。特に、世界最大のスマホ市場の中国において2014年と2015年に連続2年間市場出荷台数のトップ地位を占めた中国新興企業小米(Xiaomi)が急成長から減速・衰退に転じた現象を注目し、小米の成長戦略と中国市場・産業基盤など外部要因との関係を究明したい。 また、近年中国自動車市場の変化と多国籍企業の競争戦略について英文の論文をまとめ、海外の英文学術雑誌に査読論文として投稿したい。 それに続いて、2018年度から新しい科研費を申請し、ハイセンス、ハイアール、三一重工など中国の製造業メーカーがインターネットの活用、華為(Huawei)、小米(Xiaomi)、中興(ZET)など中国の情報産業企業のインターネット活動展開、DJI、BYD,楽視(LeEco)など新興企業のドローンや電気自動車がインターネットに繋がる動向を研究の視野を展開し、中国企業のIoT活動と産業高度化の動きを研究していきたい。同時に、グレードアップの圧力の下で、中国企業は日本企業の製造機械、産業ロボット、基幹部品や素材を求めているが、具体的に日本企業にとってどんな商機をもたらすかも研究していきたい。
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Causes of Carryover |
今年度の予算は当年度予算額以上を使ったが、次年度使用額が生じた理由は、主に前の2年に残された金額である。また、今年度に計画した中国への現地調査が現地企業の都合で実行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に台湾と中国に現地企業の調査を計画しているので、旅費が多く使う予定である。また、英文の論文を海外学術雑誌に投稿する予定で、投稿費用もかかる。
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