2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380557
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
日野 恵美子 福山大学, 経済学部, 准教授 (40550059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三品 和広 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (40283155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経営者 / 社長 / 転地 / アウトサイダー度 / 本流 / エリート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複数の経営者群について、アウトサイダー度を分析することを目的としている。そのためには有価証券報告書の「沿革」欄、「事業の内容」欄、「役員の状況」欄、部門別の業績に関する情報が不可欠である。複数の企業群を調査する計画であるが、そのうちの「特定産業の全上場企業」については、長期間にわたるデータの収集を概ね完了した。また、本研究の課題名にも含まれる「転地」を遂げた企業についても、データ収集を概ね完了している。アウトサイダー度が高い経営者を登用すると暴走が懸念される場合があるため、その可能性を検討するべく、戦略暴走した経営者の分析にも取り組んでいる。現時点では、財テクに走って巨額の損失を出した事例を抽出し、その経緯や主導した経営者を特定するところまでほぼ完了している。 企業の長期の繁栄を可能にする要因を解き明かすことが本研究の最終目的である。事業の寿命を超えて企業が長期に繁栄するためには、従来の収益源に代わる新たな収益源となる事業を築くことが肝心である。転地はその手段であり、転地を遂げた経営者の条件を抽出する必要がある。その切り口としてアウトサイダー度という指標を用いる。一方で、転地は一般に時間を要する。一定の期待任期があることが転地に着手する必要条件であると推測されるため、経営者の任期を分析した。在任期間は長期にわたり短期化しており、転地など長期間を要する施策をとることが難しい現実を再確認することとなった。ただし、個々の企業における任期の推移を分析することにより、短任期が固定化する過程や反転する例も明らかになった。次の段階では、経営者の資質と与えられた時間とを組み合わせた分析を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収集という点では平成27年度の予定であった対象の多くについても済んでおり、計画に先行している。一方で、成果物が出せておらず、全体としてはやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究環境ではデータ収集が容易ではないため、前年度に多くのデータの収集が済んだことで、本年度は指標の開発とそれを用いた実験に注力できると期待できる。 「研究実績の概要」欄に記述したように、転地を遂げるには経営者の資質ばかりではなく与えられた条件(主に時間)も重要である。アウトサイダー度という一局面だけを切り離すのではなく、複数の要因を当初計画よりも積極的に盛り込んでいきたい。
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Causes of Carryover |
データの収集や打ち合わせのために、前年度に限り旅費の支出がほとんどが必要なかった。また、物品についても、所属機関の研究費や過去の研究費で購入したもので前年度については賄えた。よって次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に収集しきれなかったデータについては、古い有価証券報告書や社史を必要とする可能性が高く、そうした資料を閲覧できる施設は限られているうえに制約も多いため、一社のデータを収集するにあたっての旅費がかさむ。主にこのために使用する予定である。また、データ管理のための物品購入や、論文の執筆、投稿に関連する支出が増えると思われる。
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