2014 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク型ビジネスモデル:農村型コミュニティビジネスの価値創出要因と課題
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26380558
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
李 只香 九州共立大学, 経済学部, 教授 (80309731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八島 雄士 九州共立大学, 経済学部, 教授 (00320127)
DRUMMOND Damon 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (30341613)
藤田 武弘 和歌山大学, 観光学部, 教授 (70244663)
細野 賢治 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (90271428)
岸上 光克 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 講師 (20708002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コミュニティビジネス / 農村 / 社会的企業 / 日本 / 韓国 / ビジネスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
次の点で、研究を進めてきている。 (1)仮説的モデルについて、研究会などを通して、多角的な検討を行った。その結果、まず、経営学分野における営利企業のビジネスモデルや社会的企業との違いとして、当研究の農村型コミュニティビジネスモデルは、①地政学的も地域に根ざし、②地域の資源に依拠し、③地域の共同体が主体となる点を明らかにした。その成果の一部は、九州共立大学総合研究所シンポジウム及びAsia Pacific & Economic research Society(立命館アジア太平洋大学)にて報告を行っている。 (2)当研究の主要フィールドである、秋津野地区(和歌山県田辺市)及びワンズ(韓国全羅北道)について、追加調査を行うほか、論文化を行っている。具体的には、コミュニティ内の収益事業の詳細、支援組織(中間支援組織)と地域機関との連携活動に至る広範な側面について調査を行った。当研究が当初は予定しない地域(分野)であったが、民宿に特化したコミュニティビジネス及び都市型直売場についても調査を行った。その成果の一部を学会にて報告を行い(経営行動研究学会、日本農業市場学会、農業理論研究会、日本農業経済学会)、また主要機関紙に発表した(JC総研、月刊住民と自治、観光学、農業市場研究、協働組合研究誌、経営行動研究年報)。 (3)また、支援組織(中間支援組織)の運営のあり方及び業績評価の指標について、多角的な検討を行った。検討の成果を関係学会で報告を行った(経営行動研究学会、日本農業経済学会)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次の点で、概ね順調に進展している。 (1)農村型コミュニティビジネスモデル構築のため、営利企業や社会的企業のビジネスモデルとの相違などについて整理できた。当研究の優良事例からは、中核となるビジネス体の収益としての成功により、個人営農者などスモールビジネス体を増やしたり社会的目的(雇用創出、地域の福祉など)を達成するような持続可能の農村型コミュニティビジネスを作りあげており、その点、①都市部の貧困層を対象としたM・ポーターのモデル(インナーシティー経済活性化モデル:Inner City Economic Decelop:1995)、②ウィラーのモデル(SLENモデル:Sustainable Local Enterprise Network model:2005)を踏まえつつも、支援や政府補助金の対象ではなく、ビジネスとして持続性を持つコミュニティビジネスモデル構想をある程度具体化できた。 (2)当研究が主要調査対象は、地域活性化を標榜する、数十以上の直接的な利害関係を持つビジネス体や機関であり、調査地の中核ビジネスや中核人物と、情報交流を伴う調査活動が継続できている。それにより、当研究の目標する優良事例の精緻な描写が進んでおり、ビジネスモデルとの検証が大きく進んでいる。 (3)調査活動を通して、さらに関連を情報を得ており、追加調査により主要な示唆を得ている。民宿事業(伊江島)や都市型直売場(韓国)の調査により、①民宿を中核とするコミュニティビジネスについてその具体を知るほか、②農村資源の都市部でのユニークな展開について調査を行うことできた。これらは、少ない政府補助(スタートアップ段階の補助や法的整備)で持続的なビジネスへと導く好例となるもので、当研究の関連で主要な示唆を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
次のように、研究を推進する。 まず、前記の研究実績(1)及び達成度(1)と関連して、先行研究を踏まえての論文化を進めたい。それにより、農業経済学や経営学分野の学会での農村型コミュニティビジネスへの理解を高めたい。依然、農業経済学部分野の様々な視点での研究が都市部機関の支援の取り付けや政府補助のあり方に焦点が合わせられており、収益(あるいは価値)を生む側面が著しく欠如してり、一方経営学関連の学会においても、スモールビジネスの集合としての農村型ビジネスの価値についての認識が乏しく、関連の研究が少ない。そこで、当研究を遂行するうえでも不可欠な仮説モデル構築をより時間をかけ、具体化し論文化に励みたい。 次に、前記の実績欄の(2)及び達成度(2)とも関連して、優良事例の継続調査を行い、事例ごとの精緻な描写に努め、研究ノートなどの形式で論文化行いたい。また、追加事例に対しても同様に追加調査および論文化を進める。その際には、共同調査と研究会を並行させ、総合的な分析・検討を通して、構想モデルを検討・検証を行う。 最後に、欧米の持続的な農村型コミュニティビジネスにおいて、支援組織(中間支援組織)の存在が肝要で、その原点となっているのがイギリスのBITC(Business in the Communty)となっている、その役割や運営の仕組みなどについて、文献による調査を行い、いずれ現地調査を行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が次のような理由で生じている。 (1)共同研究者の岸上光克氏(水産大学校)は、当該年度中に「田辺周辺広域市町村圏組合」の地域コーディネーターを依嘱されることにより、秋津野地区(和歌山県田辺市)の調査を、同組合の会議での往来に合わせて行った。そのため、当該年度配分の150.000円を使っていない。 (2)共同研究者の八島雄士(九州共立大学)は、他の研究基金による研究調査を並行しており、当研究の予定としていた調査を一回見送っているため、当該年度配分額のうち、19,880円を使っていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該研究が現地調査を伴うものであり、分担者らは繰り越してもらいたいと希望しており、平成27年度にその使用を繰り越し、調査のための交通・宿泊費として使用してもらう。
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Research Products
(16 results)