2014 Fiscal Year Research-status Report
専門サービスの知覚品質と顧客満足ならびに従業員満足の影響構造に関する実証研究
Project/Area Number |
26380566
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
櫻井 秀彦 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (70326560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂瀬 崇彦 北海道薬科大学, 薬学部, 准教授 (30433452)
恩田 光子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (60301842)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 顧客満足 / 従業員満足 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、次年度の大規模調査のために、インタビューによる予備調査の後、Web調査を行って仮説モデルの策定を行った。医療という特殊なサービス財の提供と消費における顧客満足と従業員満足に影響する要因の構成概念を検討するため、まず2つの慢性疾患患者を対象にフォーカスグループインタビューを行った。疾患の違いで顧客満足の影響要因が異なる可能性が見いだされ、質的に検討することで、医療サービスにおける医療者の関係性に新たな知見が得られる感触を得た。また、常勤とパートの薬剤師にインデプス・インタビューを行ったところ、患者志向と職場の人間関係がキー概念との仮説を持った。 上記結果と他の先行研究を基に、量的研究として慢性疾患患者400名、薬剤師400名のWeb調査を行った。 患者調査では、患者満足度と、服薬アドヒアランスの間には有意な関連性はなく、影響要因も異なるため、それぞれ独立した施策が必要であることが示された。 患者満足を高めるためには,糖尿病では患者との関係性を重視する方略が有効と考えられる一方で、高血圧では技術的側面含めバランスに配慮する必要があるなど、疾患ごとでの対応が重要であることが示唆された。服薬アドヒアランスに関しては、患者の自己効力感を高める方略と、処方医師との連携を強化し、処方医師への評価を高める必要性が示唆され、このことは医薬分業の更なる質的向上が求められていると考えられた。 薬剤師調査では職務満足と患者志向の規定因が総じて異なったことから、薬局の運営上は個別の施策が必要であることが示された。一方、共通要因である患者関係性や技術品質、加えて技術品質と相関が高く、患者志向に最も影響する機能品質を高める取り組みの重要性も示唆された。さらに、職務満足が患者志向に影響することから、職務満足を高める施策は患者志向を高め、結果として患者満足の向上に寄与するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質的および量的な予備調査はすべて完了し、サービス提供者側と消費者側それぞれのデータを基に論文化に入ることができた。また、次年度の大規模調査に向けた調査項目の取捨選択ならびに仮説モデルの構造を検討する基礎資料も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は初年度に得られたデータを基にした論文化を進め、上期に質的、量的研究それぞれ学会発表を行い、質的研究と量的研究では顧客と従業員それぞれの論文計3本を投稿していく予定である。 並行して、実地調査の協力薬局のリクルートを進め、下期に大規模な患者および薬局薬剤師の調査を行い、顧客満足と従業員満足の関係性の調査に入る予定である。 分析においては初年度調査の結果を基に、顧客志向や知覚品質などを媒介変数としたモデルで影響構造の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度見積もっていた予備調査に関わる費用のうち、リサーチ会社を活用したことでインタビューに関わる旅費及び調査費用が当初見込み額に比べ、大幅に削減できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目は大規模な実地調査もしくは複雑なWeb調査を予定していることを鑑み、予備調査は必要最低限にとどめ2年目の費用に充てる予定である。
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