2016 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding customer engagement behavior
Project/Area Number |
26380572
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 晶 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (80376574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 真宏 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (10379159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自発的参加行動 / エンゲージメント行動 / ソーシャルメディア / 顧客価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
メディアの発展に伴い、マーケティング・コミュニケーションはよりインタラクティブになり、消費者の参加行動を前提として設計されるようになりつつある。消費者はもはや受動的なターゲットではなく、コンテンツを創造、投稿、共有するマーケティング活動の共同開発者として位置づけられるようになった。こうしたなかで、消費者のエンゲージメント行動の重要性が近年高まっている。本研究の目的は、消費者のエンゲージメント行動を促すメカニズムを解明である。本研究の成果は最終年度に以下の論文にまとめられ、学術誌に掲載された。
山本 晶・松村真宏「顧客のエンゲージメント価値の測定」『季刊マーケティングジャーナル』 36(4) 2-19 2017年3月。
本論文においては携帯コンテンツ・プロバイダーの協力を得て、SNSサイトのユーザーによる仮想通貨の獲得・消費行動および友人紹介データを用いて、エンゲージメント行動から得られる価値の測定を試みた。具体的には顧客のクチコミ・ネットワークとSNS上のインタラクション・ネットワークを用いて、各ユーザーの金銭的価値、クチコミ価値、影響価値の測定を行った。そのうえで、エンゲージメント価値を構成する複数の価値の間の関係の解明を試みた。分析の結果、ある価値側面で高い価値を持つ顧客は、別の価値側面においても常に高い価値を持つわけではないことが明らかになった。また、顧客のエンゲージメント行動には閾値が存在し、ある一定の回数を超えるとエンゲージメント行動が発生しやすいことが明らかになった。 本研究の学術的なインプリケーションは、大きく二つある。一点目は近年注目を集めるエンゲージメント価値に着目し、企業の実データを用いて測定した点にある。二つ目は、従来のマーケティング研究のように顧客一人の価値のみに注目するのでなく、顧客の友人・知人といった顧客の持つネットワークに着目した点にある。
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