2015 Fiscal Year Research-status Report
消費者の動機づけと自己効力感に関する研究:患者教育と健康維持・増進行動
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26380579
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
森藤 ちひろ 流通科学大学, 人間社会学部, 准教授 (10529580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 昭二 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (80220466)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己効力感 / 期待 / 満足 / 動機づけ / 便益遅延性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健康に関する関与、健康に対する知識、自己効力感の高低に合わせた患者教育の提言を目的としている。平成27年度は第2ステップとして、教育を行うシステムの構築を行った。具体的には、SEN実験システムのHTML5化対応である。Web実験システムを用いた教育コンテンツの開発を行ってきたが、患者と双方向で効果的に教育する方法として、スマートフォンやパッドの活用が有効であることから、それらの機器上で操作可能なシステム開発を行った。 健康に関する関与、健康に対する知識、自己効力感を高める方策の研究に関しては、医療サービスが便益遅延型サービスであることから便益遅延性の特質に着目して研究を行った。便益遅延型サービスにおいては、便益を価値観的便益・感情的便益・機能的便益に3つに分類することができ、それらの便益ごとに遅延の程度が異なることが明らかになった。分析の結果、3便益の中で価値観的便益が最も顧客参加に影響を与える便益であることがわかった。また、便益と顧客参加、顧客満足の関係を考察し、それらの関係モデルを構築した。このモデルを用いて、自己効力感に対する介入の方針の見通しをたてている。 自己効力感の高低は、価値観的便益の享受の程度と密接に関係している。自己効力感の高低と便益の享受を結びつけて研究を進めていくことは、患者の健康行動を動機づける方策の解明に有効であると考えられる。そのため、価値観的便益の享受の程度によって患者を分類し、教育方法を考えていく方針である。1年目の調査結果と合わせると、いかに早期に価値観的便益を患者に知覚させるかについては、情報の質・媒体の組み合わせを変えることで解決することが可能であると考えられる。患者のタイプ別で最も効果的な方法を明確にしていくことが現在の課題であり、教育のタイミングや順序について検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、システム開発と患者調査の分析を予定していたため、概ね順調に進んでいる。当初の研究方法に追加して、医療サービスが便益遅延型サービスであることに着目し、便益遅延性概念を考慮した研究を進めた。便益遅延型サービスにおいては、便益を享受できない状況において消費者を動機づけたり、サービスへの参加を促進することが重要な課題である。便益遅延型サービスで分類される価値観的便益・感情的便益・機能的便益と自己効力感の関係を考察することが消費者の自己効力感を高める方策の解明につながると考えられることから、現在、サービスデリバリープロセスの消費者の便益享受についても研究を広げている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成28年度は平成27年度に開発したシステムを活用して定量調査を行い、実証研究を実施する。ただし、当初予定していた特定患者の継続的な調査は実際には難しいため、研究方法を一部変更して実施している。 また、第3ステップとして「成果の公表」を積極的に行っていく予定である。自己効力感の高低に影響を与える、期待・満足・便益遅延性の概念に着目して、成果発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
物品の単価が当初の想定よりも安価に抑えることができたこと、旅費を予定よりも抑えて調査を行うことができた。また、先方の都合により、実施できていない調査が一部発生した。これらが次年度使用額が生じた理由である。そのため、平成27年度の費用を平成28年度に予定している調査と成果報告にかかる費用として、繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施できていない調査については、平成28年度に実施する予定である。また、国内外で積極的に成果報告を行う予定である。よって、次年度使用額は、その調査と成果報告に関わる費用として使用する計画をたてている。
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Research Products
(11 results)