2015 Fiscal Year Research-status Report
会計情報に対する主観的評価が意思決定にもたらす影響に関する研究
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26380598
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
末松 栄一郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (60276673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 武久 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30292080)
日置 孝一 神戸大学, 経営学研究科, 講師 (60509850)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 主観的評価 / 認知 / シナリオ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の具体的目的は,売上高予測情報,過去の投資情報などの財務情報・非財務情報に対するマネジャーの主観的評価が意思決定に及ぼす影響を,実験手法を使って明らかにすることである。この点において変更はない。平成27年度に実施した実験の内容は以下のとおりであった。平成27年度では,平成26年度に実施した実験の結果を踏まえて,2種類の実験を実施した。 年度前半では,直近の傾向変化の影響を受けやすい条件(短期)に注目し、短期情報の呈示を行い、会計情報の傾向変化が情報の主観的評価に及ぼす影響をシナリオ実験によって検証した。独立変数として、提示した会計情報(売上)を3期間(当期および2期前まで)とし,提示された会計情報の上昇・下降傾向(トレンド)を上昇→上昇,上昇→下降,下降→上昇,下降→下降の4水準に設定した。従属変数として次期の売り上げが上昇するか下降するかの予想とその予想に対する自信の程度と,次期のコスト増減計画を測定した。その結果,コスト関連情報の違いによって,コスト増減計画(意思決定)の内容が異なることが示唆された。 続いて,年度後半では,4種類のコスト関連情報に対するマネジャーの評価の違いと,コスト増減計画との関係を別のシナリオ実験によって検証した。実験では,直近の売上高情報および当期の売上高予測情報とキャパシティのスラックの有無とを操作し,こうした情報によって,コスト関連の情報に対する主観的評価がどのような影響を受けるのか,さらに,その結果として当年度のコスト計画にどのような影響が生まれるのかを明らかにすることを目的とした。結果として,コスト計画に対する売上高予測とスラックの有無それぞれの主効果が確認されたとともに,その効果は4種類のコスト関連情報で異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目では,ビジネスマンを参加者とする実験を実施し,4種類のコスト関連情報に対する主観的評価がコスト関連情報によって異なることと,キャパシティのスラックの有無がコスト計画に及ぼす影響について,ある程度の知見を得ることができた。研究1年目の研究成果と合わせて,財務・非財務情報に対するマネジャーの主観的評価が意思決定に及ぼす影響が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験手法を用いて財務及び非財務の情報に対するマネジャーの主観的評価が,意思決定に及ぼす影響の解明を目指していく方針である。 併せてこれまでの実験によって得られた知見を論文として学界・実務界へ提供していく。主観的評価と意思決定の関係を明らかにすることは,マネジャーに適切な意思決定を促すための情報提供のあり方を検討するための基礎的な理解となる。
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Causes of Carryover |
計画より謝金の支払いを必要としない参加者を対象とした実験を実施したため計画より支出額が少なかったことと,研究代表者の勤務地および研究分担者の勤務地での打ち合わせが計画より少なかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である28年度は,研究成果をまとめるために前年度よりも多く打ち合わせを行う予定である。また,学会での報告も計画している。
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Research Products
(3 results)