2016 Fiscal Year Research-status Report
南洋興発の製糖事業標準原価管理と南洋庁の歳出歳入予算管理との共進化ダイナミズム
Project/Area Number |
26380608
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野口 昌良 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (70237832)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 南洋群島 / 臨時南洋群島防備隊 / 南洋庁 / 予算 / 南洋興発 |
Outline of Annual Research Achievements |
外務省外交史料館等が所蔵する南洋群島(ミクロネシア)関係政策資料を活用して、甘蔗等農産物資源の開拓という視点から、南洋興発株式会社の製糖生産原価管理と、南洋庁に代表される同地統治機構による予算管理の関係を、共進化ダイナミズムのフレームを通じて分析することが本研究の基本構想である。 防衛省防衛研究所には、第一次大戦中および直後におけるミクロネシアの日本による占領と統治を担った「臨時南洋群島防備隊」に関する資料が所蔵されている。戦時日誌、公報(民生部を含む)および現況概要(報告)に代表される諸資料は、同隊の占領・統治に関する活動を仔細に記録している。 防備隊関係の資料には各年度に立案された予算・決算に関する資料も含まれており、これらの記述・記録を組み合わせた場合、第一次世界大戦中および直後における日本によるミクロネシア占領・統治という構造に対して、それを現地で担った臨時南洋群島防備隊、とくにその司令官の認識・役割という視点から、従来の組織レベルの視点とは異なる解釈が可能となると思われる。 平成28年度は、昨年度実施した南洋庁の前身である臨時南洋群島防備隊の戦時日誌および公報の分析結果を学術研究のかたちにまとめ、当該論文を学術雑誌に投稿した。 臨時南洋群島防備隊の予算制度を、ミクロネシア統治をその後引き継いだ南洋庁の予算制度と比較した場合、軍政から民政への完全移行に伴い、予算規模の拡大が確認されると同時に、軍政時に見られた予算超過が大幅に抑制され、予算管理の在り方にも変化が生じていることが明らかにされた。他方で、南洋興発の製糖生産原価管理実務、とくに甘蔗代の管理実務についても分析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度および平成27年度に収集した資料の分析が進捗し、平成28年度はその分析結果を、一定の範囲ではあるが、学術論文のかたちにまとめることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
統治機構(臨時南洋群島防備隊と南洋庁)の予算管理に関する研究結果を集約すると同時に、南洋興発の製糖生産原価に関する資料の分析を完了する予定である。
|
Causes of Carryover |
英文校正が間に合わなかったため残高が生じているが、次年度で使用する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降も研究成果公表の経費に充当する予定である。
|
Remarks |
以下の論文を執筆し、学術雑誌に投稿中である。 Sumi, Y. and Noguchi, M., Budgeting and Accounting of Japan’s Extraordinary Defense Corps for the Civil Administration of the South Sea Islands from 1914 to 1922.
|
Research Products
(2 results)