2016 Fiscal Year Annual Research Report
The empirical research on usefulness of accounting information using big data
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26380609
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
音川 和久 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90295733)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 会計情報の有用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1番目に、取引時間内または取引時間外に決算発表が行われた場合の株価反応を比較する分析を進めた。そして、日本大学経済学部産業経営研究所の第288回公開月例研究会(2016年10月19日)に招待され、「ビッグデータ時代の財務報告」というテーマで講演を行った。そこでは、情報技術(IT)の発達に伴う財務報告環境の大きな変化がもたらす様々な影響を検証した最近の資本市場研究の成果を概観した上で、日中取引データを用いた決算発表時刻と株価反応に関する実証分析の結果を報告した。2009年の単年度のみを分析した結果は、取引時間内または取引時間外に決算発表が行われた場合の株価反応を比較すると、決算発表時刻から30分後までの短期間において、取引時間内に発表された決算情報に対する株価反応が取引時間外に発表された決算情報よりも強いというものであった。その後、分析対象期間を2013年まで拡張して分析をやり直したところ、取引時間内に発表された決算情報に対する強力な株価反応がより長いウィンドウにわたって持続することを示す結果が得られた。 2番目に、M&Aや設備投資といった企業行動が将来業績に及ぼす影響を、経営者や証券アナリストが自身の利益予想に的確に織り込んでいるかどうかについて分析を行った。単一変量分析では、のれんを大きく計上するM&Aを実行した企業において、将来業績に対する効果が過大評価される傾向を析出した。しかし、多変量分析では、コントロール変数の選択により分析結果が安定しないため、その解釈を慎重に行う必要が判明した。 3番目に、多様なタイプがある投資信託に関連するデータを用いることにより、証券発行企業と投資信託の間および投資信託と一般投資家の間に生じる情報の非対称性を解消するために行われる財務報告の諸課題について、新たな知見を提供できる可能性を文献サーベイに基づいて展望した。
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Research Products
(3 results)