2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380621
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川島 健司 法政大学, 経営学部, 教授 (80406652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 財務会計 / 財務報告 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度(第1年度)には、東日本大震災の発生後、日本企業がどのようなタイミングでどのような内容の情報開示を行ったかを調査した。具体的には、震災当日から東京証券取引所において開示された「適時開示情報」を入手し、そのタイミングと情報内容を記録および要約した。記録の対象となった適時開示情報は3,525件(2,151社)であり、このうち震災発生から1営業日後に開示されたものは887件、5営業日後までに開示されたものは2,241件であった。これらの開示情報のなかには、自社の被災状況を開示したものの他に、非被災企業による義援金や各種支援を表明したものも含まれていた。これらの記録は東日本大震災の発生直後における日本企業の財務報告に関する資料として公表する予定である。 また、本研究では開示された情報に対する証券市場の反応を調査した。現時点での分析では、震災直後の情報開示には全体として負の反応の確認されている一方、義援金や各種支援に関する情報開示に対して証券市場の有意な反応は見られない。これらの発見事実は、26th Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues (2014年10月28日, 台湾/台北市)において"An Investigation of Market Reactions to Disaster and Donation: A Case Study of the Great East Japan Earthquake"として発表した。ただし本分析は追加分析および分析方法の改善の余地が多く残されており、次年度以降に継続して取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である適時開示情報の記述と整理は完了し、その記録にもとづく分析の一部を26th Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues (2014年10月28日, 台湾/台北市)において"An Investigation of Market Reactions to Disaster and Donation: A Case Study of the Great East Japan Earthquake"として発表した。 一方、期首の研究計画では、日本企業が公表したアニュアルレポートや東日本大震災に関する報告書の分析をも行う予定であったが、これらは未着手である。上述の適時開示情報の整理に想定以上の時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に記録した基礎的な情報内容にもとづいて、その分析に着手する。具体的には、①証券市場への効果と、②東日本大震災の前後における日本企業の情報開示の量的・質的な内容の変容を調査する。これにより、災害時におけるあるべき情報開示を検討するための基礎的素材を提供することを目指す。 また、平成26年度に実施できなかった課題は平成27年度の前半に着手する予定である。
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Research Products
(1 results)