2015 Fiscal Year Research-status Report
経営者による予想利益開示行動と利益調整行動の複合的分析
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26380627
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
田代 樹彦 名城大学, 経営学部, 教授 (90268061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田澤 宗裕 名城大学, 経営学部, 准教授 (80411487)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 業績予想 / 四半期報告 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、経営者の業績予想の開示パターンにつき、とりわけ、当期純利益を中心に、先行研究ではほとんど取り上げられていない四半期財務報告と関連づけて、実証的な検証を行った。その結果は、当初想定していた以上の多様性が認められるというものであった。平成27年度は、この平成26年度の検証結果を踏まえ、経常利益に関して、以下のような実証的な検証を行った。 (1)経常利益の業績予想に関する修正行動を分析する際、上方修正・下方修正・据え置きという修正パターンに関し、単に名目額の修正額によってグループ化した場合と、売上高の予想修正と関連付けた実質(利益率)によってグループ化した場合とを比較することで、企業が実質的にどのような開示行動をとるのかについて検証を行った。その結果、大半のケースでは、名目および実質ともに同じ修正パターンに分類されるものの、一部のケースでは名目と実質とでパターンが異なることが観測されている。 (2)上記検証に加えて、その株価効果の検証を行った。この検証の焦点は、名目額に着目した修正パターンと実質に着目した修正パターンについて、市場はどのように反応しているのかという点を明らかにすることである。その結果は、名目額の修正パターンのみならず、実質的な修正パターンについても統計上有意な反応が見られるというものであった。 これらの検証に加え、業績予想が会計不正に遠因になり得る可能性もあるために、当初予定していなかった会計不正との関連付けるなどの試行的な分析を行うなどの展開を検討したたが、上記(1)及び(2)を含め、これらの結果を論文としてまとめたり、学会にて公表するまでには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で行う計画であった業績予想の開示パターンに関する検証は、ほぼ当初の計画に沿って進められている。しかし、「研究実績の概要」でも述べたように、その結果を学会報告ないし論文として公表するには至っていない。この点を踏まえて、「やや遅れている」との評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、最終年度の平成28年度の研究活動は、これまでの検証結果をまとめて、学会や論文を通じて公表することが中心である。また、その際のフィードバックを踏まえて追加の分析を行うこととしている。「研究実績の概要」でも述べたように、検証自体はほぼ計画通り進められているため、学会報告や論文としてまとめることに重点を置きたい。 なお、研究代表者は、2016年5月に学会での報告を行うことが決まっており、今後の研究の推進については計画通り進められるものと思われる。
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Causes of Carryover |
主たる理由は以下の通りである。 (1)学内のネットワークとの接続環境の関係で、分析用のパソコンの設置時期を後ろ倒しにしたこと。 (2)内外での学会報告を行えなかったこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由のうち(1)については、追加的分析の関係で、平成28年度前半に執行する予定である。また、(2)についても、進捗状況欄でも示したように、すでに学会報告を行うなどの計画を進めている。
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