2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380635
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大西 靖 関西大学, 会計研究科, 准教授 (80412120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 昭宏 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (40350235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 持続可能性会計 / ステイクホルダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は、企業の社会的評価に関する理論的な分析を行うとともに、持続可能性の情報開示に関する規定要因のモデル分析および予備的な調査を行うことであった。このなかで、企業の社会的評価に関する理論的な分析については、持続可能性会計の領域における評価指標の開発動向をもとに、技法開発とステイクホルダーとの対話との関係性を検討することによって論文にまとめた。その内容は下記の通りである。 会計学における持続可能性に関連した評価指標については、1980年代後半から環境会計のフルコスト会計の領域と関係して、開発が行われてきた。しかしながら、フルコスト会計技法を持続可能性の側面に適用することについては、2つの点で課題が指摘されている。第1点は、持続可能性に関わる問題が非常に多様な観点から展開されているため、どのように会計的な評価指標を識別するかという問題である。第2点は、これらの問題に対するコストあるいは効果の測定結果が、測定方法によって大きく異なってしまうという問題である。 したがって、持続可能性に関する評価指標を一元的な数値として確立することは容易ではないが、評価指標に関する技術的な開発と、評価指標にもとづくステイクホルダーとの対話という観点からの議論を進めることが重要であると考えられる。他方で、実際に会計技術と対話の問題を検討する上では、企業とステイクホルダーとの間の関係性についての議論をさらに深く検討する余地が残されている。 なお、持続可能性に関する情報開示の規定要因に関わる調査についても今年度に着手しているが、その具体的な成果は、当初の計画に沿って次年度以降に発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的研究については、本年度に実施するとともに、その成果を論文として発表した。 また、持続可能性の情報開示に関する規定要因に関する研究については、実証モデルの構築および予備的調査に着手した。したがって、研究全体としては概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、着手している研究の内容を改善することによって、研究成果を国内学会で報告することが目的である。また、海外学会での報告に向けての取り組みを進めることが必要であると考えている。
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Causes of Carryover |
当初に参加を通じた情報収集を予定していた海外学会が不開催となったため、旅費の未使用額が生じている。また、当該年度の実証研究の方向性が未確定な部分があったため、購入予定であったデータベースを購入していないことも、繰越額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外学会については、前年度に参加できなかったことから、本年度は参加回数を増やして持続可能性会計に関する情報収集の充実を図るとともに、発表の機会を探索する予定である。また、国内学会にも積極的に参加して、持続可能性会計および企業の社会的評価に関する情報を積極的に収集するとともに、今年度に持続可能性に関する情報開示の予備的な研究についての発表を予定している。また、これらの定量的な研究の進展に伴って、今年度にデータベースを購入する予定である。
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Research Products
(1 results)