2016 Fiscal Year Annual Research Report
A research on the effects of business environment on persistence of accounting numbers
Project/Area Number |
26380639
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
中條 良美 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (00387383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 会計不正 / 実物投資 / 利益訂正 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、企業評価の指針となる情報が事業環境に応じて異なりうることを、とりわけ会計不正という異例な状況を取り上げることで分析した。そもそも、企業評価に必要な将来キャッシュフローは、現在企業が手掛ける投資に依存して予測される。問題なのは、企業が直面する特殊な事象によって、合理的な実物投資の決定がいかに歪められるかである。基本的に、企業の一連の行動は、資本市場に向けて開示される会計情報と整合していなければならない。なぜなら、両者の間に乖離が存在する場合、資本市場の参加者によってかかる不整合が見通され、合理的な投資行動を逸脱する範囲で企業価値が割り引かれてしまうからである。 そのような事態を避けるため、会計情報の粉飾を試みる企業は、粉飾された会計数値と一貫した行動を選択するよう迫られる。本研究では、まず企業の投資水準をめぐる理論モデルから、生産性が低い企業は生産性が高い企業に比べて多くの実物投資を必要とすることを示したうえで、裁量的に決められる収益性が投資の大きさから推定される生産性の低さを糊塗する役割を果たすことを明らかにした。もとより、企業の生産性は資本市場で観察することができないパラメータであるから、生産性は観察可能な投資額と収益性の関係から間接的に予測されるにすぎない。しかし、収益性が裁量可能である以上、観察不能なパラメータの推定値を高めに誘導することが可能なのである。 このような仮説に基づいて、本研究では会計不正に従事したと考えられるサンプルをもとに、収益性の裁量と実物投資との関係を実証的に分析した。そこでは特に、利益の訂正報告書を提出した企業を対象に、利益の下方訂正額と実物投資の大きさとの相関を検証した。結果として、従業員1人当たり売上高のような生産性の代理変数をコントロールしても、利益の意図的な増加は、人的な投資を過剰にする副作用があることが判明した。
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Research Products
(2 results)